林野庁が8月31日発表した2023年度予算概算要求額は3506億円で、前年度当初予算2977億円を上回る規模となった。このうちカーボンニュートラル実現に向けたグリーン成長の総合対策費用として155億円(前年度は116億円)を計上。国産材の供給・利用量を2030年に4200万m3(2020年は3100万m3)まで増やすことを目標に、木材需要に対応する安定的かつ持続可能な供給体制を構築する。
総合対策費用のうち118億円は木材加工流通施設の整備などの基盤対策、木質バイオマス利用促進施設・特用林産振興施設・木造公共建築物などの整備支援などに充て、国産材の需要拡大を後押しする。
そのほか、建築用木材供給・利用強化対策として16億円(同13億円)、木材需要の創出・輸出力強化対策に6億円(同4億円)、カーボンニュートラル実現に向けた国民運動展開対策に3億円(同2億円)を計上。木質耐火部材やJAS構造材の普及、製材やCLT・LVLなどの利用環境整備なども重点的に支援する。都市部における木材利用の強化にも取り組む。
CLT・LVLなどの利用環境整備事業では、▽CLTの低コスト化や安定供給のための実証▽CLTを用いた先駆的な建築物の設計・建築、街づくりへの支援▽中高層・非住宅建築物での設計などの合理化▽低コストな接合金物の開発▽品質確保などに関する技術開発▽設計の容易化▽BIMを活用した設計・施工手法の標準化検討▽設計者の育成―などにも予算を投じる。
木材需要の創出対策では、非住宅などで「木の効果」の見える化、工務店などへの支援体制の構築を行うほか、モデル的な取り組みを支援する。
カーボンニュートラル実現に向けては、国民の幅広い参画が求められることを踏まえ、国民参加の植樹祭などのイベント推進に6800万円、木材利用拡大の機運を高める「木づかい運動」への取り組み(メディア活用・シンポジウム開催など)に1億2千万円、カーボンクレジット(J-クレジット制度)の普及促進や、自治体による「山の炭素吸収」応援プロジェクトにそれぞれ5千万円を計上する。2030年までに国民参加による植樹1億本、森林管理プロジェクトのクレジット認証量24万CO2tを目指す。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。