今年2月、働きたくても子育てや介護など時間的な制約のために常勤では働きにくい女性の雇用機会を生み出そうと、“働きたい女性”に入居前点検や鍵交換などの賃貸住宅管理の仕事を紹介する新会社「Realize(リアライズ)」(神奈川県横浜市)を設立した代表の池田礼子さんは、自身が一時期、子育てと仕事の両立に悩んだ経験も生かしながら、子育て中の主婦やシングルマザーと慢性的な人手不足に悩む賃貸住宅管理会社をつなぐことで、両者の課題解決を目指したいと意気込む。
現在、全国で約70人の子育て中の主婦が業務を行っており、池田さんは「主婦目線の点検や現調だからこそ、見落としがちな汚れやキズ、設備の不具合にも気づくことができる」と女性に活躍してもらうことのメリットを強調する。
リアライズでは、池田さんが常務取締役を務める住宅設備機器の設置工事や修理、取り替えなどを手がけるハートリビングサポート(大阪府東大阪市)と提携して、全国の賃貸住宅の現状回復や建物診断、定期清掃、定期巡回などを行う管理会社から業務を請け負い、働きたい女性とのマッチングを行う。主な業務内容は、賃貸住宅の入居前調査や点検・清掃、鍵・インターホンの交換、現場調査など。
1カ月の研修期間を設け、ドアの鍵やエアコンなど実物を使用しながら点検や施工技術を身につける。このほど、YouTubeチャンネルも開設し、研修内容を動画配信することで、場所や時間を問わず技術を身につけたり、スキルアップできる仕組みも整えた。
きめ細やかな点検・現調
池田さんは「現場作業は男性がやる仕事と思われがちだが、女性の方がきめ細やかな対応ができることもある。例えば現場調査の写真撮りは、主婦だからこその視点があるので、男性が撮る写真よりもはるかに枚数が多く、指摘箇所もするどい。それだけ気になる点を見つけることができている。それが入居者からのクレームを減らすことにつながっている」と説明する。
池田さんは「子育て中の女性や、特にシングルマザーは、子どもの病気やケガなどで急な遅刻や早退、休みが発生することもしばしばで、常勤の仕事に就くことが難しい」と・・・
この記事は新建ハウジング8月30日号 9面(2022年8月30日発行)に掲載しています。
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