経済産業省が8月31日に公表した2023年度の概算要求額は、前年度比13.7%増の1兆3914億円。一般会計の中小企業対策費に1343億円(前年度は1095億円)、企業の事業再構築・生産性向上・価格転嫁円滑化に267億円(同235億円)を投じるなど、長期化するコロナ禍や物価上昇の影響を受けやすい中小企業・小規模事業者への継続支援策を盛り込んだ。
エネルギー対策特別会計予算は前年度比15.2%増の8,273億円。電力・ガス供給力の確保、再生可能エネルギーの活用などに4332億円(同3843億円)を配分し、経済社会活動の土台となるエネルギー安全保障を確保する。
グリーンエネルギー利用の高度化に向けた予算として、家庭などの省エネ化に1023億円(同886億円)、先進的な省エネ設備の導入補助に360億円(同253億円)、EVなどの導入支援、充電・水素充てんインフラの整備に430億円(同245億円)を計上。「太陽光発電導入促進補助金」、「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」なども組み込んだ。脱炭素社会を実現するための省エネルギー技術開発にも注力する。
中小企業などへの対応では資金繰り支援として、政府系金融機関での融資金利の引き下げ、信用保証協会による債務不履行時の損失補填などを行う。予算は「日本政策金融公庫補給金」が151億1千万円(同145億5千万円)、「中小企業信用補完制度関連補助・出資事業」が67億7千万円(同49億8千万円)。さらに転嫁円滑化施策をパッケージ化することで、価格転嫁・取引適正化、持続的な賃上げの原資となる収益の確保を後押しする。
創業・事業承継・M&Aなどに取り組む企業の支援のため、創業時の借入時における経営者保証を不要とする保証制度、および後継者同士のコミュニケーションの場となる「後継者支援ネットワーク事業」(予算4億円)を創設。事業承継やM&Aに伴う廃業に係る費用を支援し、引き継ぎ後の経営をサポートするための支援策なども整える。デジタル化・生産性向上に向けた「中小企業生産性革命推進事業」、今年度創設した「ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業」は継続して行う。
地域課題の解決に向けた支援策も強化。地方自治体などと連携する中小企業・小規模事業者などに向けた「小規模事業者支援推進事業」に12億9千万万円(前年度10億9千万円)、中小商業者向けの「機能活性化事業」に8億8千万円(同4億6千万円)、「地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業」に8億4千万円(同6億5千万円)など、いずれも前年度を上回る規模で投じる。
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