吉永建設(兵庫県川西市)は、創業時から家事動線や収納を重視した家づくりをコンセプトにしている。明確に “女性目線 ”を訴えることで、顧客に安心感を与え、安定した集客を実現した。時間の経過とともに、家事のあり方も大きく様変わりしたが、男性の趣向も押さえた「男前ハウス」など、生活者のニーズを的確に捉えて時代の潮流に合った新機軸も打ち出している。
自分らしい家事楽のニーズ高まる
今は顧客のほとんどが共働き世帯。家事負担を軽減する間取り・動線や設備へのニーズは大きく高まっている。例えば、室内干し・ランドリースペース(とガス乾燥機)は、ここ1~2年で特に要望が増えたもののひとつだ。
設計の岡田鮎美さんは「動線を短くし、無駄なスペースを省きたい、という要望が増えている」と実感している。ランドリースペースなどを設けると 1階の面積が増えてしまうため、その分廊下を減らしたい―そんな要望がよく聞かれるという。
ウッドショック・資材ショックの影響による価格上昇の影響もあるが、岡田さんはそれ以上に「自分たちの生活スタイルに合った家、納得できる家をつくりたい意欲が高く、お客様それぞれに細かい要望がある」ためだと捉えている。画一的な家事楽ではなく、顧客それぞれの暮らしに合った家事楽の提案が求められている。
あえての「バルコニーなし」提案も
動線は玄関、洗面脱衣室、キッチンの回遊動線を採用することが多い。料理や洗濯など複数の家事を並行しやすいのに加え、掃除も楽になる。
岡田さんが重視しているのは「水まわりを集中させ、キッチンと洗濯機(置き場)をなるべく近づける」こと。可能ならば洗濯物を干し、しまうのも楽になるように、バルコニーと収納への動線も確保したい。
最近では、あえてバルコニーを設けず、動線を徹底的に短くした事例も増えている。価格上昇への対策も兼ねており、モデルハウスで提示したところ、2021 年は顧客の約半数がバルコニーをつくらなかった(平屋も含む)という。・・・・・
【残り1703字、図・写真8点】
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー9月号(2022年8月30日発行)/超ときめき★プラン術』P.12~でご覧ください。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。