戸田建設(東京都中央区)はこのほど、第二神明道路櫨谷工事の仮設現場事務所(神戸市)において、「ZEB」認証を7月29日付で取得したと発表した。
同社は、新社屋「新TODAビル」でのZEB Ready認証取得、筑波技術研究所「グリーンオフィス棟」でのZEB認証取得など、ZEB化を積極的に推進している。今回、蓄積したノウハウを生かしながら、経済的かつ現場事務所に活用しやすいZEB化モデルを開発した。
同現場事務所では、屋根・壁などへの断熱材追加や窓への遮熱フィルム貼付けにより外皮性能を向上。容量を最適化した高効率空調機計画、LED照明および赤外線式の人感制御も配置し、一次エネルギー消費量62%の省エネを達成した。太陽光パネルによる発電も加味すると、正味109%の削減が可能となる。
空調機容量の最適化にあたり、温熱環境のシミュレーションを実施。夏期・冬期ともに「ZEB」仕様の現場事務所のほうが、外気温や日射の影響が小さく、室温のムラを抑えられることを確認した。快適性を評価する「PMV」においても、ZEB化による快適性の向上が認められたという。
そのほか、小型で移設が容易な村田製作所(京都府長岡京市)製のAll-in-One蓄電池システム(蓄電池一体型パワーコンディショナ)を導入。搭載された蓄電池により、日中に充電した電力を夜間に放電できるため、再生可能エネルギーを無駄なく使用できる。停電時にはバックアップ電源とすることで、現場事務所の安全管理にもつながるとしている。仮設事務所を解体、撤去後は他現場での再利用も可能。
同社は、CO2排出量見える化システム「CO2MPAS」を開発し、工事現場への配置を進めている。ZEB化によるCO2排出目標と排出実績を比較・表示することで省エネ意識向上を図るとともに、労働環境の改善を進めていく。
同社はSBT認定を2017年に取得・2022年に更新しており、スコープ1・2の排出総量を2030年度までに2020年度比42%削減することを目標として掲げている。工事現場においては「TO-MINICA(低炭素施工システム)」の使用、RE100に適合する再生可能エネルギー電力の採用などにより、スコープ1・2削減に取り組んでいる。
今後は、同現場事務所の運用を通して省エネ性・快適性を検証し、現場事務所のZEB化推進と脱炭素社会の実現に貢献するとしている。
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