帝国データバンク(東京都港区)はこのほど、8月に実施した「企業の今後1年の値上げ動向に関するアンケート」の結果を発表した。同調査は4月、6月に続き3回目。自社の主要商品・サービスの値上げ動向について聞いたところ、「8月に値上げした/する予定」は8.7%、「9月」は10.5%、「10~12月ごろ」16.7%となるなど、今後も値上げを考えていることがわかった。前回調査(6月)と比較すると「10月~12月ごろに値上げ予定」の企業が、7.4ポイント増と急増している。
8月以降に「値上げした/する予定」の企業は合わせて31.4%で、「4~6月」「7月」にすでに値上げした企業も含めると、「値上げ実施済・予定」企業は69.6%と約7割にのぼる。
値上げを実施済・予定している企業の割合を業種別にみると、「機械・器具卸売」87.7%、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」87.5%などで値上げが進んでいる。8月以降は「化学品製造」47.9%、「飲食料品卸売」47.3%などが全体(31.4%)を大きく上回っており、川下産業および家計への影響が懸念される。
また、1月からの値上げ回数は、「0回」33.5%、「1回」40.7%、「2回」14.9%、「3回」5.2%。2回以上値上げを行ったのは25.8%で、4社に1社が複数回の値上げを行っている。企業からは、「原材料費高騰や円安の進行によるコスト増で値上げに踏み切ったものの、値上がり分をそのまま転嫁できないケースも多い」「仕入れ商品の値上げに、その都度値上げで対応している」といった声が上がっている。
一方、顧客離れに対する懸念などから「値上げしたいが、できない」企業は14.3%だった。業種別では「不動産」が23.8%と全体を大きく上回っており、「新型コロナの感染拡大で経営の厳しいテナントに改定の提案は難しい(貸事務所)」など、値上げ交渉が困難になっている状況がうかがえる。
日本銀行が発表した7月の「企業物価指数」は、17カ月連続で前年同月を上回り過去最高を更新。エネルギー価格や原材料費などの上昇が続くなか、為替動向の不透明感の高まりや深刻化する人手不足なども相まって、コスト増が続くと想定される。同社は、企業が厳しい状況を乗り越えるには適正な価格転嫁が急務であり、今後も値上げの動きが続くとしている。
有効回答企業数は1401社。
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