アキュラホーム(東京都新宿区)の社内研究所である住生活研究所と、住居学・生活学の視点で研究を行う日本女子大学(東京都文京区)定行研究室はこのほど、2011年または2016年にアキュラホームで住宅を建築した1716組を対象に、「住宅内の空間の使い方」と「コロナ禍の住環境実態」について共同で調査を実施した。
LDKでの過ごし方・使い方としては、末子が小学生までの世帯では「おもちゃなどで遊ぶ、「絵本、本を読む」、「勉強をする」などが多く、妻の在宅勤務の場所として使われているケースも多かった。このことから、LDKは子どもの見守りや共に過ごす場としての用途で用いられていることがわかる。一方、中高生以降では、「スマートフォンなどの操作」、「新聞、雑誌を読む」、「昼寝をする」など個人がリラックスする用途で用いられており、ここでは勉強する割合は低いことがわかった。
子供部屋の利用形態を聞いたところ、小学生までは、「就寝する、昼寝する」の割合が低く、「おもちゃやゲームなどで遊ぶ」割合が高かった。中高生以降は「仕事・勉強をする」、「スマートフォンなどの操作」、「授業を受ける・会議に参加する」など、集中して行う作業などで使用されていることがわかった。また、在宅勤務を行う場所は、夫は個室、妻はダイニングテーブル(LDK)という傾向が明らかになった。
“大きい部屋を2つに仕切る”という個室数の変更計画については、新築時に計画していた人のうち約1~2割程度しか実施していないことがわかった。一方、部屋の分割を実施した人の傾向をみると、2011年に建築した人は子どもが中学生に上がる前後で分割し、2016年に建築した人は中学生以降で分割する傾向が見られた。
子供部屋の有無を調べたところ、子どもがいる世帯では、子どもが未就学児でも約7割の世帯が子ども部屋を設けており、小学校入学から高校卒業までの世帯では約9割が設置していると回答した。
コロナ禍において在宅勤務をする人が増えていることから、良質な在宅勤務環境を確保するために取り組んでいることを調査したところ、どの年代の子どもを有していても最も多かった回答は「集中するために一人だけの空間を確保する」というものだった。子どもが小さいうちはLDKなどで子どもを見守りながら在宅勤務を実施する人が多かったが、ウェブ会議などもあり、一人だけの空間を確保するニーズは高い。また「快適に作業ができるように温度や湿度、風通しを調整する」や「生活音が聞こえないようにドアや窓を閉める」などのニーズも高いことがわかった。感染拡大前後の屋外空間の利用実態を調べたところ、感染拡大後は、庇の有無にかかわらず、仕事のために利用する人の割合が増加していることがわかった。これらの結果から、屋内空間のみならず、屋外空間についても、仕事や気分転換、子どもが非日常を体験できる空間設計が求められているとする。
調査期間は2021年9月17日~12月9日。
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