古民家ライフ [山形県山形市]
「これが19歳の時に私の生きる希望でした」。雑誌に掲載されていた1枚の古民家の写真が、耐え難い現実を目の前にしていた青年に希望を与えた。一念天に通ず―。それから30年あまりたったいま、青年は工務店社長・棟梁となり、伝統構法による家づくりに邁進。確かな技術と思想で、家づくりを通じ、多くの人々に希望を与えている。
名刺には、代表取締役の肩書と共に、「棟梁」と刻まれている。髙木孝治さん、46歳。引き締まった体つきに、どっしりとした風格、頭には白いタオルを巻いている。「よくこんな遠くまで来てくれたね」。髙木さんは、笑顔で記者を出迎えてくれた。
出身は福島県伊達市。実家は地場の零細工務店を営んでいた。転機が訪れたのは、一浪して大学受験を控えていた、暑い夏のことだった。「郡山市の予備校に通っていて、ちょうど夏期講習で追い込みをかけていた時期だった。ある日、突然、父が余命宣告された。病名は癌。そこからあっという間に、その年の12月に天国へ旅立った。心の準備もできてなかったし、その当時の記憶はあまりない」。父が亡くなるのと同時に・・・
この記事は新建ハウジング8月20日号 6面(2022年8月20日発行)に掲載しています。
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