雨が降って水のたまった基礎を見て不安になった建て主に、「水和反応で硬化するので湿潤なくらいでよい」と回答した。その数日後、今度は「晴れが続いて乾燥し過ぎではないか」と質問が。「これから木材を施工するのでちょうどいい」と答えたら「どっちが本当だ」と怒り出してしまった。 【住宅ライター:渡辺圭彦】
住宅会社の建築部長を務めるK氏が若手の現場監督だった頃の話だ。「あの時は本当に未熟で、お客様には申し訳ないことをした」と反省交じりに振り返る。
その建て主は30代の地方公務員。一見しておとなしそうに見えるが、自分の価値観にそぐわないことには絶対に引くことがない。見積もりや契約書はきっちり詳細までチェックして、設計の打ち合わせでも、手持ちの家具のサイズをmm単位で計ってきて報告する。「心配性とも言えるくらい慎重で、信念とこだわりが強い人でしたね」とK氏は評する。
「基礎に水がたまっているが」と建て主からの不安が
その夏は天候不順が続き、大雨が降ったかと思うと、カンカン照りが続いたりと、現場の工程管理に気を使うことが多かったという。建て主から問い合わせの電話があったのは、これから基礎コンクリートの型枠が外れるという・・・
この記事は新建ハウジング8月20日号 17面(2022年8月20日発行)に掲載しています。
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