受注に直結するマーケティングや集客・営業といった業務のデジタル化によって、効率化やコスト削減などの効果を実感した工務店が、設計・積算業務や現場管理など「内部的」な業務へとデジタルシフトを段階的に広げていく流れがある。ここでは、集客や顧客管理、品質管理など工務店が実践しているDX事例を紹介する。いずれの事例からも、家づくりの“コア ”や「工務店らしさ」を守り、磨いていくために、DXが有効に作用していることが分かる。
初回接客からアフターに至るまで、顧客情報管理とコミュニケーションはついてまわる問題だ。アイズホーム(神奈川県横浜市)では、接客・顧客管理支援クラウド「myhm(マイホム)」を導入し、デジタルネイティブ世代の顧客に対応したコミュニケーション環境を構築。図面などの資料もペーパーレス化でき、保存性を高めることにも一役買ったという。
DXのきっかけは社員と顧客のギャップ
同社は2019年2月に、マイホムの前身・knot(ノット)を導入した。社長の清水貴成さんは、社員と顧客の間に現れた、意識の差を導入の理由に挙げる。
社員は「図面にしてもパソコンの大画面で見るのを好む」のに対し、若い顧客は「スマートフォンの画面で確認することが前提になっている」。印刷した図面や資料をめくりながらの打ち合わせを、今の一次取得層に合わせたスタイルに転換する必要があった。
紙ベースは確かに「慣れているから楽」だ。しかし、保管には場所を取るし、一度しまうと探しづらくもなる。事務所内のスペースを有効活用し、過去データの検索性を高めるためにも、DX(ペーパーレス化)に踏み切ることにした。
住宅専門ツールだからこそのメリット
顧客にもアプリを、自身のスマホにインストールしてもらう必要があるが、同社では「初回面談からクロージング(契約)までの間」にお願いしている。
契約後のやりとりはもちろんマイホム中心で、面談も、コロナ禍なのでZoom上で行うことが多い。マイホムは、チャットによる連絡ツールと、図面をアップロードして共有するデータベースとしての使い方がメイン。その上で、具体的な説明を要する事項があれば面談を設定する。
マイホム導入前は・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー8月号(2022年7月30日発行)/超DX戦術』P.22~でご覧ください。
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