建築資材の高騰と住宅ローン金利の上昇により悪化した住宅のアフォーダビリティ(住宅の適正費用負担)は、引き続きアメリカの住宅市場に負の影響をもたらしている。米新築住宅販売件数が60万件を割り込み、2020年4月以来の低水準となった。
米国商務省国勢調査局がこのほど発表したデータによると、2022年6月の新築一戸建て住宅販売件数は59万件(季節調整済み)で、5月の64.2万件(下方修正値)から約8.1%下落した。年始比ではマイナス13.4%、前年同月比ではマイナス17.4%だった。先月の連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを前にした駆け込み需要の反動を受けるように、6月の米新築住宅販売件数は再び下落へと転じた。
地域別の新築住宅販売件数(年初来)を見ると、北東部がマイナス12.1%、中西部がマイナス24.8%、南部がマイナス12.6%、西部がマイナス9.6%で、全地域で下落した。
新築一戸建て住宅の在庫は45.7万件で、前月の7.7か月分から増加し、前年比プラス60.3%の9.3ヵ月分となった。ただし、竣工済みで入居可能な住宅在庫は全体の8.5%で、残りは現在建設中か未着工となっている。住宅のアフォーダビリティが悪化し販売件数が落ちる一方で在庫水準は上昇しているため、短期的な新築住宅建設の減少につながる可能性がある。
住宅販売価格の中央値は前月から5万4400米ドル(約735万円)も低下したが、それでも前年同月比では7.4%上昇している。住宅価格の高騰についていけなくなった購入希望者が市場を去り、競争が緩和されたことで値段も落ち着きつつあるが、失った見込み客を取り戻す段階にはまだ至っていない。
全米住宅建設業協会のジェリー・コンター会長は今回発表されたデータについて、「金利の上昇と建築資材を含む住宅建設及び開発の継続的なコスト上昇により、買い手が市場から排除されたため、建設業者の売上は大幅に減少した」と自身の見解を述べている。
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