横から見てもきれい、便座裏もきれいな
新モデル登場
TOTO(福岡県北九州市)を代表するウォシュレット一体形便器「ネオレスト」が大きくリニューアル。フラッグシップモデルの「NX」、直線基調の「AS」、丸みを帯びた「RS」に、つぎ目のない陶器部分と金属調のアクセントが特徴的な「LS」を加え、それぞれが個性的なデザインの4機種を8月1日に同時発売した。新しい「LS」について、デザイン・開発・販売それぞれの視点から語ってもらった。
デザイン
世界的トレンドをTOTOらしく
海外市場を見渡すと、この5年間でトイレのデザインが大きく進化。便器の薄型化が進み、CMF(カラーマテリアルフィニッシュ)と呼ぶ色質感を活かした空間コーディネートがトレンドになっています。こうした世界的トレンドをTOTOとして解釈し、商品に落とし込んだのが、今回新たに仲間入りしたLSです。
シリーズ 4機種(NX、LS、AS、RS)それぞれにお客様の理想の暮らしを設定し、デザイン的な個性を持たせました。「優雅で贅沢なスタイル」のLSは、インテリアに対する感度が高く、間接照明を効かせた空間でお気に入りのコレクションを飾ったり、上質な香りを楽しむ人をイメージしています。
空間に映える金属調カラー
LSをデザインするうえで最も神経を使ったのはサイドビューの見え方。「トイレは正面から見るもの」という先入観を覆し、横から見た時に陶器のつぎ目が一切ない直線基調のフルスカート形状の便器、優美さを表現したウェーブラインのふた、便器とふたの間にほどこしたCMFによる金属調のアクセントが大きなポイントになっています。
トイレ空間には、ドアノブや水栓金具といった金属で作られたパーツが多くあり、それらと調和させるために金属カラーを同調させることを考えました。金属らしい光沢・質感が引き立つ柔らかな曲面で構成したパーツをワンポイントとして使うことで上品に仕上げています。一方、正面は、色や形の要素を最小限に抑えて清潔感を強調。正面と横でまったく違う見え方を両立させることにもこだわりました。
LSは、水栓やアクセサリーと色を連動させ、空間コーディネートを楽しむことができます。金属調カラーは、ニッケルとブラックの2色。LSのコンセプトである優雅さ・贅沢さを表現するニッケルは、空間の中での納まりの良さ、建築との相性の良さを感じていただけるはずです。
開発
便座裏の汚れを解決する新機能
今回、新しいクリーン機能である「便座きれい」を追加しました。アンケート調査(*)で汚れが気になるところ上位の「便座裏の尿はね汚れ」を、TOTO独自の「きれい除菌水」を使って解決できないか?と考えたのが出発点です。
特に難しかったのは、便座の表側や壁・床を濡らすことなく、便座裏の尿はね部分だけに狙いを定めてきれい除菌水をムラなく吹き付けること。これを実現するために「微細ミストの生成」と「気流の制御」の2つの技術をつくり込みました。
毎日が試行錯誤の連続でした。例えば、超音波振動を使って微細ミストの生成を試みたものの、求めるミスト量・噴霧範囲には足りず断念。その後、雨に濡れた傘を回転させると細かなしぶきが飛ぶ様子からヒントを得て、回転で微細ミストを生成する方法に着想。最終的にもともとウォシュレット内部にあった温風乾燥ユニットを使って気流を発生させ、微細ミストをアシストして便座裏先端までムラなく運ぶ方法を実現することができました。
また今回、新機能を追加しつつ、薄型デザインを実現するために、ウォシュレット内部に収められていた数百パーツの部品をすべて見直し小型化を図りました。例えば、湾曲型のノズルに変更する等して機能部全体の体積を約 25%削減することに成功しました。
(*)住宅設備と生活意識に関する実態調査 2021年7月TOTO調べ。調査方法:郵送。対象:日本国内の20-79歳の男女n=1957人
事業部の垣根を越えたものづくり
新しいネオレストシリーズの開発は、普段はそれぞれ違う業務を行なう多くの事業部が連携して知恵と技術を出し合い、1つの製品をつくり上げる体験でもありました。その過程で特に苦労したのはデザインと機能の両立です。LSの場合、つぎ目のない直線的なフルスカート形状を陶器で実現する難しさ、そこに洗浄エンジンを収める難しさもありましたが、TOTOならではの技術力とものづくりに対する前向きな姿勢がそれを可能にしました。
販売
商品体系を一新、「選ぶ楽しみ」感じて
5年ぶりとなった今回のリニューアルは、「世界の一体形便器をけん引する、ネオレストとは何か?」を根本から見直し、TOTOの持てる力を結集してあらゆる要素を進化させました。
品揃えを拡充し、LSを含め4機種となったことにより、選ぶ楽しみも増えました。コロナ禍以降、心が満たされる空間や機能にコストをかけ、そこで優雅な時間、癒しの時間を過ごしたいと考える人が増えました。新しいネオレストはまさにそうした価値観を持つお客様と相性のいいレストルームに仕上がっています。
「アクセントカラー」に予想上回る反応
LSに採用した「ニッケル」と「ブラック」の金属調カラーは、斬新でインパクトがありながら世界的なトレンドを採用しており、日本の住空間にもよく合います。トイレ本体だけでなく、レストルームドレッサーの水栓、リモコン、紙巻器などのアクセサリーにも同じ2色を品揃えしています。全体を同色系でコーディネートした時の空間の雰囲気、完成度の高さに驚かれるかもしれません。
アクセントカラー、特にニッケルに当初の予想を超える反響をいただいています。私たちもアクセントカラーがとても気に入っており、世界中の方にLSを使った上質な空間づくりを体験していただきたいと考えています。今後さらにデザイナーの思いや開発秘話、新しいネオレストの価値を発信していく予定です。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。