住宅業界を襲っている危機の概要と、それを突破するための対策の基本を、Q&A形式でまとめた。本稿では、「法制度対応」について、その具体的な対応策を提言していく。
Q1.脱炭素住宅施策のポイントは?
A.省エネ法成立と断熱上位等級で潮目が変わる。地方自治体の独自施策・条例にも注目
加速する法制度の変化をどう自社の追い風とするか、対策を考えたい。まず押さえるべき脱炭素住宅関連施策の基本を[上表]に整理した。
廃案候補だった「建築物省エネ法」が7月13日に成立。2025年に現行基準への適合義務化、30年に義務化する省エネ性能をZEH水準に高めるとのロードマップが明確になった。ZEHやHEAT20をベースとする断熱上位等級の設定とあいまって量産会社も高性能化に向かい始めている。
今後は、国が基本方針とロードマップ、義務化水準の調整、国の予算化などを担い、地方自治体が地方の気候風土や実情に即した施策を実施し、両輪で脱炭素化を進めていくことになる。[上表]で挙げた鳥取県の補助制度や長野県の独自基準、東京都の太陽光設置義務化案などはその先行例だ。
工務店も積極的に地元の自治体に声を届け適切な制度化を促したい。また、義務化水準の引き上げや時期の前倒しなど国の課題も残っている。
Q2.エネルギーショックの影響は?
A.家計を大きく圧迫する。電気代、断熱・太陽光への関心増は追い風にできる
電気・ガスの料金が昨年から1000円前後上昇。夏の電力不足&節電要請が国や電力会社から出てきている。こうした「エネルギーショック」の行方はウクライナ侵攻や原発稼働次第で不透明だが、継続すれば家計を大きく圧迫し続けることになる。
欧米各国はエネルギーショックを見越して断熱改修などの省エネや太陽光発電の普及促進を強化している。こうした海外の対策を見た経済評論家や政治家から断熱改修の普及促進を求める声があがっている点には注目だ。
太陽光については、東京都が・・・・・
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