なぜ、工務店はいますぐにDXを進めなければならないのか―。
経営コンサルタントとして住宅業界・工務店のデジタル化推進をバックアップするリブ・コンサルティング(東京都千代田区)執行役員の石井祐季さんに、その理由を聞いた。
石井さんは、住宅新設着工戸数が「史上最低」水準を割り込む2024年を住宅業界にとっての“X-year”と位置づけ、それまでに生産性の高い少数精鋭の体制を整えなければ生き残りは難しいとし、その体制構築にはDXが欠かせないと説く。
執行役員 石井 祐季さん
なぜ、工務店にDXが必要か。それは、より少ない人数で、より大きな成果を上げる、つまりは生産性の高い少数精鋭の体制をつくるために有効だからだ。それを、まさにいまやらなければ、この先、生き残っていくことは難しいと考えている。
野村総合研究所は、新設住宅着工戸数が2040年度に49万戸まで縮小するとの予測を示しているが、その過程で2024年には、それまでに最も落ち込んだリーマンショック後の水準を下回り、「史上最低」の数字となると見込まれる。住宅業界にとっては、今までに体験したことのない“未体験ゾーン”とも言える市場に突入することとなる。その“X-year”までに残された時間はわずかだ。業務・組織変革が立ち遅れているとしたら、DXを基軸にすぐにでも着手しなければ間に合わない。
これまでの住宅業界の文脈では、世代継承が難しいために事業者数が減少していくと見られていたかもしれないが、X-year以降は、完全に市場における「淘汰」による事業者数の減少傾向が鮮明になっていくはずだ。
原価上昇は不可逆な流れ
もう1つ考えなければならないのは工事原価の上昇だ。ウッドショック、資材ショックにより原価高騰に歯止めがかからない深刻な状況となっているが、そもそも工事原価はずっと前から上がり続けている。2011年と比較すると、同じ住宅をつくった場合に、400万~500万円ぐらいは原価が上がっている。つまり、この先も、相場に左右されるものは価格が下がる可能性はあるものの、総体的な上昇傾向は避けられない不可逆なものと見る方が現実的と言える。
こうした状況が何を意味するかと言えば・・・
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続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー最新号(2022年8月号)/超DX戦術』(2022年7月30日発行)P.10~に掲載しています。
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