帝国データバンクは8月3日、2022年7月の景気動向調査結果を公表した。国内景気は、季節需要が一部で表れ、『製造』『建設』など6 業界が改善した一方、『小売』『サービス』など4 業界が悪化。自動車など『製造』の生産がやや上向いたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大にともなう、個人消費関連の下押しが響き、7月の景気DIは前月比0.1ポイント減の41.3で、小幅ながら5カ月ぶりの悪化となった。今後の景気は、「下押し圧力が強まるなかで、おおむね横ばい傾向で推移していくと見込まれる」とした。
建設業の7月の景気DIは43.1で前月比0.6ポイント増で、3カ月連続の改善となった。不動産業は前月比1.2ポイント減の44.7となっている。
調査各企業からは、「半導体の不足などで溜まっていたバックオーダーが動き出している。猛暑の影響もあり、客先からもメーカーや品番の指定が無い」(冷暖房設備工事)、「前期までに比べ、各得意先企業からの見積もり依頼がかなり増えており、これにともない、受注も増加傾向にある」(電気配線工事)など、猛暑の影響でエアコンの設置工事が活発となった様子がうかがえた。
また、「工事量が豊富にある。材料費が多少上がっているが、受注金額は現状維持または微増で、影響は少ない」(左官工事)、「物件量がかなり増え、材料の値上がり分の価格転嫁も出来ている」(鉄骨工事)という声が聞かれる一方、「資材高騰の影響がいよいよ鮮明になってきた。元請け事業者は値上げ交渉に応じる気配がない」(一般管工事)など、下請けの企業で価格転嫁が難しい様子もみられた。「資材高騰で建築価格が上昇し、施主の希望金額との開きが大きい」(貸事務所)との声もある。
先行きについては、「2023年も工事量は減少しないと予測している」(左官工事)、「現在、建設業界は都心部を中心に再開発事業が繁忙期であり、周辺地域においても設備の更新等で工事量が増えている。現状の資材供給不足が解消されれば更に建設業界は繁忙状況になる」(電気配線工事)、「成約には至らなくても、空室に対する引き合いがある」(貸事務所)など、プラスの意見も少なくない。
一方で、「原材料の高騰と発注側の予算に乖離がある。この状況を受け、発注を控えている感がある」(金属製建具工事)、「材料の高騰などが経営を圧迫し、好転の兆しが見えない」(土工・コンクリート工事)、「建築原価の高騰分を販売価格に転嫁できなくなり、売れ行きが悪くなる」(建物売買)など、原材料等の高騰の影響を懸念する声が多い。また、「金利上昇に対する警戒感から、不動産の動きが悪くなる」(貸家)、「金融機関の不動産融資について慎重論が多い」(不動産代理・仲介)などの意見もあった。
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