帝国データバンクは7月27日、実質的に倒産状態であるにも関わらず営業を継続している、いわゆる「ゾンビ企業」が、2020年度は全企業の11.3%、約16.5万社と推計した分析結果を公表した。このうち、業種別では「建設」が34.3%で最も多かった。
今回の分析では、国際決済銀行(BIS)のゾンビ企業の定義である「3 年以上に渡ってインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)1未満、かつ設立10年以上」を採用して分析した。ICRは、(営業利益+受取利息+受取配当金)/(支払利息・割引料)から算出される。
帝国データバンクの企業財務データベースで「3年連続でICRが判明しており、かつ設立10年以上」の企業は10万6918 社。そのうち「3年連続ICRが1未満」の企業が 1万2037 社・11.3%だった。その上で、帝国データバンクの調査活動で経営実態のあることが実地に確認できている企業数146.6万社に、この割合(11.3%)を乗じて、ゾンビ企業を約16.5万社と推計した。
2020年度に「3年連続でICRが1未満、かつ設立10年以上」の企業1万2037社を業種別にみると、「建設」が34.3%で最も多い。以下、「製造」(20.0%)、「卸売」(18.9%)、「サービス」(10.4%)と続く。「建設」の内訳をみると「職別工事」が13.9%、「総合工事」が12.6%、「設備工事」が7.8%だった。
さらに、2022年2月に帝国データバンクが実施した「新型コロナ関連融資に関する企業の意識調査」に回答した1万1562社のうち、「ゾンビ企業」に当たる417社を分析。コロナ関連融資を「借りた・借りている」企業は、全体では52.6%だったが、「ゾンビ企業」に限ると79.6%と8割近かった。また、コロナ関連融資を「現在借りている」企業のうち、「返済に不安」がある企業は全体で9.0%だったが、「ゾンビ企業」に限ると15.5%にのぼった。帝国データバンクは「コロナ関連融資によって多くの『ゾンビ企業』が延命している可能性がうかがえる」としている。
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