現代建設土木の主役材料であるコンクリートには、接合剤であるセメントが欠かせない。他方でセメントは、その製造過程で大量のCO2を排出する「気候キラー」でもある。世界のセメント産業は現在、CO2排出の8%を占めている。全空運によって排出されるCO2を超える量である。セメントの消費量は過去30年で大きく増加していて、1990年から現在まで4倍にまで膨れ上がっている。今後もとりわけアジアやアフリカで増加していくことが予想されている。
セメント製造におけるCO2の排出は「2重」のプロセスから起こっている。1つは加熱だ。セメントの原料は釜の中で約1500℃の高温に熱せられるが、これには通常、天然ガスや石油などの化石燃料が使用されている。
もう1つは原料の化学反応である。原材料の石灰(炭酸カルシウム:CaCO3)が熱反応によりセメントの主要成分である生石灰(酸化カルシウム:CaO)に化学変化する際に、CO2が排出される。
前者が45%・・・
この記事は新建ハウジング7月30日号 7面(2022年7月30日発行)に掲載しています。
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