工務店による熱中症対策事例
夏本番、工務店は現場でどのような対策をしているのか―。ヒアリングしたほぼ全ての工務店が空調ファン付きウエアを職人に支給しているほか、飲料水、市販の熱中症対策の塩飴を支給していた。糖尿病を患っている中高年の職人のために、スポーツドリンクではなく、水や麦茶も一定数用意していることも共通していた。そのほか、作業用の大型扇風機を稼働しているケースも多かった。
【CASE1】一人親方労災保険の掛け金を負担
寿ホームズ[鳥取県倉吉市]
寿ホームズは、専属の職人を対象に、一人親方労災保険の5000円の掛け金を人工に上乗せして毎月支給している。対象は親方だけでなく、その子方(弟子)にまで及ぶ。同社常務の加藤晃さんは「職人が安心して働ける環境づくりをすることが家づくりの品質向上にも大きく影響している」と話す。職人をリスペクトし、パートナーとしての関係性を築くことで「評判をよび、数珠つなぎのように、実力のある職人が同クラスの職人を紹介してくれる」と手ごたえを語る。
【CASE2】ファン付きウエア着用義務化
新産住拓グループ・新産匠[熊本県熊本市]
新産住拓のグループ会社で職人が所属する新産匠は、熱中症対策の指針を策定し事故を未然に防いでいる。6月~9月までの期間はファン付きウェア着用の義務期間に設定。職人を含む現場入りする全員に対して、気温、湿度、暑さ指数などをFacebookで周知連絡する。
現場施工は、できるだけ直射日光を遮ることができる簡易な屋根を設けて行うほか、温度計や湿度計を設置し、温湿度の変化に留意し、気温条件や作業内容、職人の健康状況に気を配っている。新産住拓常務の植松豊さんは「何か特別なことをするというより、互いに声を掛け合い、健康状態を相互確認するという当たり前を徹底するのが大切。些細な変化に気付くことで、事故を未然に防ぐようにしている」と説明する。
【CASE3】ミストシャワーを順次設置
小河原建設[東京都中野区]
小河原建設は、施工現場に簡易のミストシャワーの設置を順次進めていく。水分を噴射し、それを浴びることで体感温度を下げて安らぎを与える。住宅事業部部長の池田勝樹さんは「職人の労働環境を守るのも責務の1つ。大切な仲間として、その先には家族がいることも忘れてはいけない」と語る。
【CASE4】熱中症対策キットを配布
浜松建設[長崎県諫早市]
浜松建設は数年前から、冷却スプレーや急冷タオル、塩飴など一式をそろえた「熱中症対策キット」を各現場に配布している。同社工事部の永石洸斗さんは「使用履歴一覧表で管理し、常にアイテムを切らさないように仕組み化している。現場ごとに必要に応じて経口補水液やスポーツドリンクを大量に発注するなどしている」とする。
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