1949年東京都中野区で、とある大工が工務店を創業した。70年以上が経った今、社名はアイ・ケーインターナショナルに変わったが、地域密着の姿勢は未だ変わっていない。いち早く高性能住宅に注目し、都市部の狭小地でも積極的にZEHを推進するなど、先導的な姿勢を示しながら、商圏をむやみに広げず、地域との関係を深めることで、地域には欠かせない家づくりの担い手としての地位を確立している。
※この記事は、デジタル配信用に再編集したもので、掲載内容は取材時のものです。
地元で育った三代目
近年はサブカルチャーの街としての認知度も上がっている中野だが、区の大部分は戸建て住宅やアパートが建ち並ぶ住宅地だ。アイ・ケーインターナショナルも、区内北西部の大和町の住宅街の中に事務所を構えている。
同社を創業したのは、現社長・小林大悟さんの祖父。後に父の至さん(現会長)が後を継ぎ、社名も創業時の小林工務店から現社名に変更した。小林さんも、子どものころから自宅の隣にあった事務所や作業場に出入りする職人の姿を見て育った。
区立の小中学校を卒業後は、父が通っていた杉並区の私立高校に入学。進路については何も言われなかったが、小林さんは「今思えば、その頃から後継者としての意識が植え付けられていたのかも」と回想する。
大学も父の母校・日本大学に進み、父と同級生だった教員の研究室に所属した。卒業後はゼネコンに就職し、現場監督として働いていたが、あまりの激務に1年で退職。同社に入社し、三代目としての一歩を踏み出した。
体験したからこそ生まれる説得力
小林さんの入社前の1997年には、父の考えでLIXIL(当時はトステム)のスーパーウォール工法認定店となり、高性能住宅への取り組みをスタートしていた。まだ業界内でも、省エネ基準すら意識していない工務店が多かった時期で、小林さんは高性能住宅を、いわば “ふつうの家づくり ”として学んでいった。これが同社、そして小林さんのアドバンテージになった。
ある冬の日、・・・
この記事は、『新建ハウジング別冊・ワンテーママガジン2021年9月号 がんばる地場工務店』(2021年8月30日発行)P.30~に掲載しています。
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