受注に直結するマーケティングや集客・営業といった業務のデジタル化によって、効率化やコスト削減などの効果を実感した工務店が、設計・積算業務や現場管理など「内部的」な業務へとデジタルシフトを段階的に広げていく流れがある。ここでは、集客や顧客管理、品質管理など工務店が実践しているDX事例を紹介する。いずれの事例からも、家づくりの“コア ”や「工務店らしさ」を守り、磨いていくために、DXが有効に作用していることが分かる。
SNS、動画、メールマガジンなど、自社で蓄積したコンテンツをフル活用し、集客・接客を自動化させたのがあすなろ建築工房(神奈川県横浜市)だ。問い合わせ後に送付するメルマガで “ファン化 ”を完了させ、見学会でのクロージングをより確実にする。
見学会までにファン化は完了
生活者は同社サイト、あるいはYouTubeチャンネルや各種SNS(Instagram・Pinterest・Voicey)などで同社の存在を知る。サイトの問い合わせフォームから問い合わせを送信すると、メールマガジン「あすなろ通信」に自動的に登録され、約2週間、検討者向けのメルマガが届く。この自動メールで、自社の家づくりの理念を理解してもらう。
その後、過去のセミナー動画(YouTube上で限定公開)を視聴してもらってから見学会に誘導する。コロナ禍でオンライン化が進んだため、見学会やモデルハウスは今や「クロージングの場、最後の砦」。代表取締役の関尾英隆さんや設計スタッフが案内し、コミュニケーションを深めていく。ほとんどの人は、設計契約まで複数回参加するという。
契約までのフローの中で、関尾さんが直接関わるのは見学会、それも初回のみ[下図]。それでも、認知からメルマガ・限定動画までの段階で、各種コンテンツの力でファン化が完了しているので、初対面で「契約したい」と言われることもしばしばだ。
返信や回答は定型化し誰でも対応可能に
問い合わせへの返信やメールマガジン送付のため、2020年からオンラインマーケティングツール「MyASP(マイスピー)」を利用している。クオホーム・本田準一さんのすすめで、メルマガ配信用として導入したが、今では見学会の申し込みと参加後のアンケート収集にもマイスピーを活用している。
利用料も月5500円で、機能を使いこなせれば格安だ。ただ、感覚的には使いづらく、使えるスタッフも限られる側面も。
同社サイト上の問い合わせフォームは、・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー8月号(2022年7月30日発行)/超DX戦術』P.20~でご覧ください。
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