住友林業が設計・施工を手がけた上智大学四谷キャンパス15号館(東京都千代田区)が完成。6月29日に報道関係に公開された。木造在来工法をベースに、同社独自のポストテンション木質耐震壁の技術を応用。外装には多摩産のスギ材による外部格子を用いて、地域のサステナブルなランドマークを目指した。
発注者である上智学院(同区)では、従前から再生可能エネルギー100%の電力導入などSDGs実現活動に取り組んできた。今回の新校舎建設にあたっても、木造を採用することによる低炭素化は最優先事項の1つとなった。
完成した建物は、地上3階建ての木造で、延べ床面積478.35m2の耐火構造建物。1階は賃貸スぺース、2階と3階には約60人収容の教室を1つずつ設けた。2階の教室には、高さの異なるくの字型の変形テーブルを配し、多様なスタイルの講義を可能とした。3階の教室には、語らいの場となるひな壇を設け、木で造作したベンチを配置した。各階には利用者の交流を促進するためのテラス空間も設けた。1階には、一般利用も可能な飲食店をオープンさせる予定だ。
CO2排出量を約15~20%削減
木造在来工法をベースとしているが、北側に独自のポストテンション木質耐震壁を取り入れた。これは、厚板のLVL(単板積層材)の柱を2本並べた合わせ面にテンションロッドを配置し、つづり材により一体化したもの。
高強度の鋼棒で構成されたテンションロッドに引張力を与えることで部材間を固定する仕組みだ。回転剛性とせん断耐力が大きくなるため、一般的な耐力壁を配置する場合よりも、開口部を大きく確保し、開放感を取り入れることが可能になる。また、教室内には同社で開発した純木質耐火集成材「木ぐるみFR」を採用。難燃処理した木材で荷重支持部を被覆して1時間耐火構造の大臣認定を取得したものだ。室内に木部があらわされることで、木造らしさが表現されている。木造を採用したことにより・・・
この記事は最新号『新建ハウジング紙面 7月20日号 8面』に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。