いえーる ダンドリの借換えスキームのメリット
工務店がリフォームに本格的に取り組む時代に入っている。そのことはすべての工務店が自覚している未来図であるはずだ。だがそのためにクリアしなくてはならない課題は多く、新築の比重も大きいため本腰を入れられていないのが現状だろう。まず工務店が最初になすべきことは OB客に対し、メンテナンスやアフターフォローでのリフォームを確実に受注すること。これはブランディングに直結し、より強い地域や顧客との結びつきを獲得することが将来の売上につながる。反対に、リフォームを取りこぼしてしまっている現状はいかがなものだろうか。
iYellがサービス提供する「いえーる ダンドリ」は、OB客の「ローンの借換え+リフォーム費用の借入れ」を一括でサポート。ユーザーは現在の金利を下げられると同時に、低金利でリフォーム資金を借りることができる。コンタクトのきっかけとしてハードルが低く、活用することで定期検査の際などに様々な提案が可能になる。快適な暮らしを提案しながらリフォーム事業を進めていきたい工務店にとって、リフォーム参入の可能性を広げるきっかけになるはずだ。
今回は同サービスを展開しているiYellの石川仁健さん、ローン借換えによるリフォームを提唱している全国住宅営業認定協会の木澤和也さん、そして実際にリフォーム事業に力を入れているアルプスピアホームの鳥羽毅さんに、同サービスと工務店によるリフォームビジネスのポイントについて鼎談を行った。
リフォームに注力できない工務店
木澤:新築メインの工務店であったとしても、新築需要が減り続けていく中で、リフォーム・リノベーションにどのように取り組んでいくのかは、工務店にとって共通の課題になっていきます。一方で多くの工務店がリフォームビジネスに既に取り組んでいながらも、注力できていないのが現実だと思います。
石川:きちんと経営している工務店であるほど新築の売上が落ちていないことも要因ですよね。
木澤:それに人材の問題も大きな要因で、新築のビルダーは業界として一番優秀な営業を新築に配置する傾向にあります。そうじゃない人をリフォームに配置するなど、決してリフォーム人材が優秀でないと言うわけではないのですが、どうしても戦略として新築優先にならざるを得ないところも背景にあるのではないでしょうか。
鳥羽:弊社でもリフォーム・リノベに力を入れていきたいと数年前からシフトしているのですが、OB客へのアフターで手いっぱいで、OB客あるいは新規顧客に対しても、積極的にリフォーム提案するというところまではいけていません。新築の売上比率は大きいので、人材の課題というのは確かに弊社でもあります。
「はじめてリフォーム層」の獲得に必要なもの
木澤:リフォームがアフターの一部という考え方から抜け出せていない工務店は多いと思います。ですがリフォームから得られるチャンスは大きいと考える経営者は、ウッドショックや納期遅延もあって切迫感が募っている。アフターの一部としてではなく、まずはOB客に対してリフォームをしっかり提案し、獲得していくことを工務店は始めていくことが重要だと感じます。
鳥羽:OB客へのアプローチとリフォーム受注への導線構築は、工務店の悩みだと思います。
木澤:逆に、リフォーム専業の他社にアフターのようなリフォームまで取られている現状は非常に問題で、一歩間違えると悪評につながってしまう。新築にも影響を与えるような数字以上のマイナスがあると懸念しています。
鳥羽:それは本当にその通りです。新築が受注できたということは、お客様と深い信頼関係が結べた結果だと思いますから、どこかでそれが損なわれているという事です。
木澤:この「はじめてリフォーム層」をどう取っていくかというのがもう少し具体的な工務店の課題だと考えていて、本当は「そろそろ水回りが痛んできた、全部替えちゃおう」といったニーズがあるはず。工務店がアプローチすべき「はじめてリフォーム層」のほとんどが住宅ローンを抱えている状態だと考えることが必要です。さらに一次取得層であればお子さんの子育ても終わってなかったりして、資金的な部分の解決が求められる。そのための資金調達策というのが、今回の「いえーる ダンドリ」の借換えスキームだと思います。
リフォーム提案しやすいスキーム
石川:「いえーる ダンドリ」の借換えを簡単に説明すると、お客様が残高のある住宅ローンを借換えるときに、リフォーム費用も一緒に借り入れることが出来るというものです。通常は、リフォームローンという別枠でお金を借りることになると金利がおよそ3%ですが、いえーる ダンドリを活用すれば 0.8%程度、変動金利であれば 0.4%前後もありえます。
木澤:その差は大きいですよね。住宅ローンの借換えをきっかけにOB客にコンタクトを取って、メンテナンスをしながらリノベーションが提案できる。例えば、単純に借換えて安くなったローン費用200万円でメンテナンスだけでなく、様々な提案ができるようになる。
石川:いえーる ダンドリは、住宅ローン業務の代行サービスですが、借換え+リフォームについてもお手伝いできます。いえーる ダンドリを導入することで、エンドユーザーに対する借換えメリット(削減金額など)のシミュレーションやローン手続きのご案内、金融機関の選定などの業務を削減できます。今後、少ない人数でリフォームをやっていく中で、できるだけ面倒なことは避けていただきたいですね。
鳥羽:単純な手間の問題もありますが、通常の住宅会社のスタッフは借換えという方法があることを頭の中では分かっているけど提案出来ていないのだと思います。
木澤:工務店視点で、この提案のしやすさとしてはどうですか?
鳥羽:すごく提案しやすいです。メリットしかないですから。お金の問題を解決できれば、リフォーム提案に注力できます。それに最低でも借換えだけでオーナー様にメリットがある。
石川:実はメンテナンスが必要なタイミングでお声がけをしてもお客様に費用がなくて先延ばしになるケースが多いです。雨漏りしてからようやくどこかに依頼して、そのときには工務店の評価が落ちてしまう。でも、いえーる ダンドリを使ってもらえれば、資金面を解決して不安を取り除いてリフォーム提案という本質に集中していただけます。
真面目な工務店こそチャンスがある
木澤:アルプスピアホームさんは、重点的に定期点検をされていますよね?
鳥羽:3か月、6カ月、1年後、2年後、10年、15年、20年、30年のタイミングですね。
石川:素晴らしいです。その際オーナー様からはどのような反応があるんですか?
鳥羽:実は弊社で今年の3月にOB客へアンケートを取っているのですが、興味深い結果が出ていて、築年数ごとに求められるものが違うんです。築年数5年以内だと細かい傷などが気になっているお客様が多いのですが、10年以内だとカーポートを付けたい、庭を作りたい、書斎用の小屋が欲しいなど、暮らしの質の向上というような要望が増えます。それ以上の築年数のお客様だと全面的なリフォームになるのですが、この「築10年以内のお客様」のニーズがポイントで、これは弊社のある長野県では10年固定でローンを借りている方が多いことがあって、ローン切り替えのタイミングとも重なります。
木澤:最高の提案のタイミングですね。それに長野に限らず、10年固定エリアは東北をはじめ他地域にもあるので、お客様としては10年が節目になる場合が多いのかなと思います。いえーる ダンドリを活用することで、数十万円の工事だけでなく、お客様の家族構成の変化にも対応したリノベーションを提案していく。そんなやり方もありそうですね。
石川:今の鳥羽さんの話を聞いて私がいつも思うのは、工務店は知識があって本当は色々やってあげたいし伝えてあげたいけど、その余力がないという印象です。今のお客様の家族構成ならこんな住まいの形がベストですよと分かっていても、その提案をする余裕がない。でもお客様に資金の余裕があったら、その提案ができる。
鳥羽:確かに、ただのリフォーム以上に喜ばれる提案ができるのは工務店ならではだと思います。後ろめたさのない借換えというコミュニケーションを通じて、まずはOB客を中心にリフォーム提案を本格的に進めていきたいと思います。
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