東京商工リサーチは7月14日、主要上場ゼネコン53社の2022年3月期決算についてまとめた。売上高合計は2期ぶりに増収に転じた一方、利益金の合計は売上総利益(粗利益)から最終利益まで、いずれも減益。前期から「減収減益」が半数を占め、減益企業は7割に達するなど、利益悪化が鮮明になった。
上場ゼネコン53社の2022年3月期(単体)の売上高合計は、資材価格や物流費、労務費の上昇を受注価格に転嫁できたことから、前期より1.7%増加(11兆8053億円)し、2期ぶりに増収となった。
一方、利益面は、粗利益が1兆2395億円(前期比16.7%減)、営業利益が5381億円(同34.6%減)、経常利益が6205億円(同31.1%減)、当期純利益が4660億円(同27.5%減)と、前期に引き続き各利益段階で減益。このうち、本業の儲けを示す営業利益(前期比34.6%減)の減少額は2014年3月期以降、最大の落ち込み。五輪需要などに沸いた2018年3月期比で半減した。粗利益率は10.5%と前期から2.3ポイント悪化。営業利益率は4.5%(前期7.0%)、経常利益率は5.2%(同7.7%)、当期純利益率は3.9%(同5.5%)と、いずれも前期から悪化している。
53社のうち、「減収減益」が26社(構成比49.1%)で最も多く、次いで、「増収減益」が11社(同20.8%)、「減収増益」が9社(同17.0%)、「増収増益」は7社(同13.2%)にとどまった。53社のうち増収18社に対し、減収は約2倍の35社。増益は16社だが減益は37社と約7割にのぼる。
受注高は12兆1458億円で、3期ぶりに前期を上回った。建築工事は前期まで2期連続で減少していたが、受注単価の上昇が寄与した。一方で、土木工事は受注高が2期ぶりに前期を下回った。「金額ベースの受注高は一進一退が続くが、建築工事の伸びは資材高騰による受注単価の上昇を反映」している。また、繰越工事残高は17兆7373億円(前期比3.8%増)となったが、これも、「実態は鋼材などの建築資材の上昇に伴う受注単価の上昇に依存する部分が大きい」としている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。