住宅ローン金利の上昇・建築資材の急騰などによって住宅のアフォーダビリティ(住宅の適正費用負担)が悪化したことで、米新築住宅販売件数は2022年に入ってから連続で減少していた。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを前にした駆け込み需要により、5月の米新築販売件数は5か月ぶりの増加を記録した。
米国商務省国勢調査局がこのほど発表したデータによると、2022年5月の新築一戸建て住宅販売件数は69.6万件(季節調整済み)で、4月の62.9万件(上方修正値)から約10.7%増加した。年始比ではマイナス10.6%、前年同月比ではマイナス5.9%だった。
新築一戸建て住宅の在庫は前月の8.3か月分からは減少したものの、前年比ではプラス42.6%の7.7か月分という高水準を維持し、販売可能件数は44.4万件だった。ただし、竣工済みで入居可能な住宅在庫はわずか8.3%で、残りの在庫は現在建設中か未着工となっている。近頃の住宅需要の低下を受け、住宅建設許可件数も鈍化・低下しているため、在庫は今後数か月間減少するとみられる。
住宅販売価格の中央値は前月比では5700米ドル(約78.7万円)低下したが、昨今の建設費高騰により、前年同月比では5万8600米ドル(約809万円)上昇している。住宅ローン金利の上昇・建設費の高騰による住宅のアフォーダビリティの悪化で、多くの住宅購入予定者が市場から去ったとみられている。2021年5月には、売られた新築住宅の23%が30万ドル以下の価格帯だったが、5月はたった9.5%にとどまった。
地域別の新築住宅販売件数(年初来)を見ると、北東部がマイナス3.8%、中西部がマイナス21.7%、南部がマイナス12.3%、西部がマイナス2.2%で、減少幅にばらつきはあるものの、全地域で販売件数が減少した。
5月の新築住宅販売件数は堅調に伸びたものの、FRBがインフレ対策で大幅な利上げに踏み切ったことから、増加は駆け込み需要による一時的なものとなる可能性が高い。
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