マンションリノベーション専門の建築士が設計し、手刻みのできる社員大工が施工する「日本で唯一の工務店」を標榜するサンビック(さいたま市)。性能向上や無垢材・自然素材にこだわったマンションリノベーションに特化し、年間10棟前後の工事受注で、年間売上高約1億5000万円・利益率45%前後と好調な業績をあげている。マンションリノベーションの専門家として、テレビ出演や講演もこなす同社代表の友政伸也さんは、工務店ならではの技術力でマンション特有の課題の解決策を提案し、その技術力の高さを自社のブランディングに生かしている。
※本記事は新建ハウジング別冊・プラスワン2019年1.2月合併号に掲載した記事を再編したもの。所属、肩書き、年齢、表現など当時のまま
埼玉県春日部市で父、兄とリフォーム会社を営んでいた友政さんが、マンションリノベーションに特化した事業を始めたのは2001年ごろ。2016年には独立した。事務所・ショールームは、JR南浦和駅近くのマンションの一室に構えた。埼玉県内でも特に住民の所得が高い浦和付近を拠点とすることで、単価が高く、質のいい顧客を獲得するためだ。
浦和エリアは、戸建てのニーズも高く、戸建ての注文住宅を事業の中心としても十分経営は成り立つだろう。しかし、友政さんは、埼玉県内の世帯の6分の1がマンションに居住している事実に着目。一定のニーズが見込め、既にレッドオーシャンと化している戸建てほど競争も激化していない。マンションリノベーションに特化すれば、「餅は餅屋」の論理で消費者に選ばれると考えた。
同社の平均受注単価は、床面積70m2〜75m2程度で1500万円前後。木造のような耐震性の不足や躯体の劣化といった構造上の問題もRC造にはほとんどなく、素材や性能向上によりコストをかけられるため「ハイグレードな平屋(と同等の住まい)を、1500万円のリノベーションで造れる」ことを、消費者への訴求点のひとつにしている。
大工が「わざわざ」つくることを価値に
同社の最も工務店らしい点といえば、河西洋輔さん、江波戸武志さんの2人の社員大工の存在だろう。2人とも手刻みができ、河西さんは一級建築士、江波戸さんは二級建築士の資格を保有している。木造を知り尽くし、設計もできる大工が「わざわざマンションのリノベーションを専門にやっている」ことが、競争の激しいエリアで大きな価値を生み、利益率の高さにもつながっている・・・・・
続きは『新建ハウジング別冊・プラスワン2019年1・2月号/工務店ならではのマンションリノベーション』(2019年1月30日発行)P18~に掲載しています。
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