矢野経済研究所(東京都中野区)は7月13日、国内住宅リフォーム市場の調査結果を発表した。2021年の市場規模は、前年比5.7%増の6兆9034億円と推計した。新型コロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言・まん延防止等重点措置により、外出自粛が続き一部でマイナス影響となったものの、在宅時間の長時間化で「住空間」への関心が高まったことなどからプラス影響が大きく、増加で推移した。
分野別にみると、「増改築に関わる費用」(10m2超+10m2以下増改築工事)が前年比2.2%減、「設備修繕・維持管理費」が同8.6%増となった。新型コロナの感染拡大当初に「ステイホーム」などで需要が急拡大した「家具・インテリア等」は、需要の落ち着きから同8.3%減となった。
リフォーム事業者は、各種資材メーカーが行う値上げについて、コスト削減などの自社努力で吸収できない分の価格転嫁を進めている。リフォーム工事費の上昇は市場規模拡大に寄与するが、食品などの消費財も値上げしていることから、リフォーム需要の低下が懸念される。リフォーム事業者は、リフォームによる「生活の豊かさ」「快適性の向上」などメリットの訴求に加え、国や自治体の補助政策や各社の金融サービスを踏まえた価格訴求提案を行い、リフォーム需要を喚起する必要があるとした。
2022年の市場規模は同5.5%減の6.5兆円、2023年は同0.7%増の6.6兆円と予測する。2022年は、観光需要喚起策で旅行・外食等の消費が増加することや、物価高騰による家計支出全体の縮小、リフォーム工事費の上昇などがマイナスに働き、市場が縮小すると見込む。2023年は、団塊ジュニア世代のリフォーム需要によってトレンドが高まるが、世帯数が減少傾向にあることから、成長が鈍化していくと予測する。
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