2014年ごろから住まいの“本質改善”を行うフルリノベーションに取り組むlivearth(岐阜県養老町)社長の大橋利紀さんに本質改善型リノベーションの要件や地域工務店におけるビジネスとしての可能性などについて聞いた。
以前からスクラップアンドビルドや空き家の問題が指摘され、近年ではSDGsやエシカル消費といった観点から「いまあるものを大切に使っていく」ことが叫ばれてきたが、その流れを受けて住宅業界でリフォーム・リノベーションが浸透したかと言えば、決してそうではない。ところが最近では、ウクライナショックやそれに伴うエネルギー問題の深刻化、生活必需品をも含むあらゆるモノの価格の高騰など「変わらざるを得ない状況」となっており、日本の社会においては“新品至上主義”からの転換期が訪れている。
視点を変えれば、いまは持続可能な社会構築に向けて、既存のものをリユース、もしくはアップグレードしながら大切に使っていくという、もともとは日本人が持っていた文化を復活させるチャンスだ。住宅業界に置き換えてみればリユースとは、まさにリフォーム・リノベーションのこと。地域工務店としては、この機会をとらえて、キッチンなど水まわりを取り換えるだけの“部品交換型リフォーム”や外壁や屋根を塗装し直すだけの“お色直しリフォーム”といった従来型のスタイルではなく、アップユース的な“本質改善型リノベーション”を本格的に生活者に提案していくべきだ。
良質な木の家づくりと親和性の高いリノベ事業
本質改善型リノベーションとは、耐震や断熱・省エネ性、耐久性などの「基本性能=数値化できる心地よさ」に加えて、四季を味わう暮らしや陰影のある空間、手触りの良い素材といった「感性デザイン=情緒的な心地よさ」と、家事が楽になる動線、使い勝手の良い収納計画などの「基本デザイン=生活のしやすさ」の3分野を満たす総合的なリフォームを指す・・・・
この記事は新建ハウジング7月10日号 16面(2022年7月10日発行)に掲載しています。
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