日建設計(東京都千代田区)は、サステナブルな建物運用を実現するツール「Arc」を活用し、国際環境性能評価システムLEED(Leadership in Energy & Environmental Design)認証取得の支援をはじめとした既存建物の環境価値を高めるコンサルティングサービスを開始した。
Arcは、エネルギー消費量や水使用量、廃棄物量といった物件の環境性能や、建物利用者の交通利用による温暖化ガス排出や滞在時の快適性を数値化し、継続的に評価するウェブシステム。築年数や広さで同等の世界中の物件と比較して、現状の改善点を探ることができる。
このほど同社では、Arcを活用し、LEEDの既存建物運用・管理分野(Operations & Maintenance、O+M)認証取得支援などのコンサルティングサービスを開始。LEED O+Mは、既存建物の環境性能を、運用面や管理面での取り組みも含めて評価するグリーンビルディングの認証システムで、サステナブルな建物運用を目指す世界中の企業に重要視される反面、申請手続きにおいて多大な時間的・金銭的負担がかかるため、取得しても継続を断念する企業も多いのが現状だ。
しかし、Arcの性能評価証書を用いることで、必要な提出データを9割程度カバーすることが可能。LEED O+Mの取得およびその継続においてハードルとなっている申請手続き上の時間的・金銭的負担を大幅に減らすことができるという。同社も、今年LEED O+M v4.1 Recertification(再認証)のゴールド認証を取得している。
世界では、財務面だけでなく環境・社会・ガバナンス要素も考慮したESG投資が不動産投資の分野にも広がりを見せており、ストックの多い既存物件への展開が期待されている。その中で、建物の資産価値向上のための手法としてLEED O+M認証に対する関心が高まっており、アメリカ(5434件)、インド(358件)、中国(337件)を中心に認証取得件数は世界で約7500件となっている。一方、日本での認証取得件数は27件と既存物件の国際的な環境性能評価の動きは鈍く、投資家に資産価値をアピールする機会を逃しているため、将来的な国際競争力の低下につながる可能性がある。同社では、LEED認証取得支援をはじめとした既存建物の環境価値を高めるコンサルティングサービスを展開することで、国内の既存建物の環境性能の向上と国際競争力の向上に寄与していく。
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