家づくりの標準化は、地域工務店の最重要テーマの一つだ。間取り、デザイン、ディティール、納まり、仕上げ、仕様だけに留まらず、業務フロー、仕組み、報告、会議、書式、書類の体裁など多岐にわたる。当社では「HIDAMARI GRAM(HG)」というマニュアル集があり、1081の決まりがある。私はこの標準化を「守破離」の「守」と位置づけている。
守破離とは、剣道や茶道などで、修業における段階を示したものだ。『守』とは「師や流派の教え、型、技を忠実に守り、確実に身につける段階」。『破』は「他の師や流派の教えについても考え、良いものを取り入れ、心技を発展させる段階」。『離』は「一つの流派から離れ、独自の新しいものを生み出し確立させる段階」だという。
基礎基本を徹底的に学び、それにアレンジを加え、最終的に自分流となるのが本質である。住宅業界は『守』が弱い。というよりも、その概念すらなかったと言っても過言ではない。
営業は感覚で数字を取り、設計は見様見まねで図面を引き、現場は親方の背中を見て覚える。
どんな職業でも観察眼で先輩から所作や技術を盗み取るのは大切で、それは必要なことだ。しかし、である。“芯を食った”最も重要な部分は教わらないと理解できない部分があるし、独学では限界がある。残念ながら、これが真実。一定のラインまでは「ごまかし」が利くが、それを超えた瞬間に行き詰まる。
根性論と精神論は時代錯誤
今の若い世代は、我々のように辛抱強く忍耐力を持って諦めずに続けるという事は難しい。これは、若い世代への非難ではなく、答えをすぐに見つけるという特殊技能を養ってきた世代だから仕方ない。その世代に対して、根性論や精神論、俗にいう「体育会系の理論」で向き合っても水と油のごとき。変えるのは、進化型の彼らではない。私たちのアプローチの仕方である。
ひだまりほーむには、「HIDAMARI GRAM(HG)」という門外不出のマニュアルがある。7月1日時点で1081のマニュアルが存在する・・・・・
続きは、最新号・新建ハウジング2022年7月10日号6面/「【連載】家はつくらない 心豊かな人生をつくる~石橋常行の経営哲学 第8話」でお読みいただけます。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。