松代建設工業(長野県長野市)のリノベーションブランド「まつけんのリフォーム」は、既存の建物の魅力を生かした、家族と住まいの“物語”をつむぐリノベーションをコンセプトとして打ち出し、2000万円前後のリノベを年間10棟程度、コンスタントに受注している。リノベ事業を統括する同社住宅部ディレクターの黒岩卓郎さんは「ウッドショック以降、住宅の価格が高騰しているせいなのか、既存住宅のリノベを検討する人からの問い合わせが急に増えている」と話す。
「木材、建材・設備などの価格高騰や土地(住宅地)の不足、価格上昇といった要因によって新築住宅の価格がかなり上がっていて、それにより住宅取得検討者がコストを抑えるために今あるストックの利用(リノベ)を具体的に考えるようになっている」と黒岩さんは自社の例をもとに指摘。実際に同社へのリノベーションの依頼では「注文住宅の新築は(価格的に)ハードルが高く、建売を見て回ったが(デザインや性能などに)納得できず、それなら実家や空いている祖父母の家を生かして“自分たちらしくリデザインしよう”と考えた」というパターンが多くを占めるようになっている。
若手建築家とのコラボを標準化
まつけんのリフォームは、2015年のブランド設立時から若手建築家とのコラボを標準化し、既存の建物の魅力を生かしながら、家や家族の歴史を次世代へと継承していくコンセプト重視のリノベーションを一貫してブランディングしてきた。そのブランディングの成果が、住宅の高額化によってストック活用が具体的な選択肢になりつつある市場と、意識すると身のまわりに実家や祖父母が暮らしていた空き家など何らかの利用可能なストックが見つかりやすいといった地域性と結び付いた格好だ。そうして手がけるリノベ案件1棟あたりの受注額は・・・・
この記事は新建ハウジング6月30日号 16面(2022年6月30日発行)に掲載しています。
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