エネルギー価格や原材料費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、中小企業庁は昨年9月に引き続き、今年3月を「価格交渉促進月間」として設定。6月22日には、フォローアップ調査の結果を公表した。直近6カ月間で、「価格交渉に応じてもらえた」との回答は61.4%に上るが、コスト上昇分を価格転嫁で着た割合は「3~1割」が22.9%と最も多く、「ゼロ」21.1%、「マイナス」1.5%という企業もあるなど、価格転嫁が厳しい状況が浮き彫りになった。
27の業種別に見ると、建設業は「価格交渉の協議状況」「価格転嫁状況」ともに12位と厳しい環境にある。価格転嫁状況を要素別に分析すると、労務費は2位、エネルギーコストは3位と高いが、原材料費が16位と価格に反映できていない。
ヒアリングでは「取引先は社会情勢をよく理解しており、特に原材料の値上がり分に関しては、着工時の予想単価に基づいた価格交渉に応じてくれた」「契約時と着工時の仕入単価が大幅に上昇した場合、再見積りで単価交渉し、請負契約書の金額変更も認めてくれる」といった声がある一方、「労務費の単価アップは、協議の場はあるが認めてもらえない。親事業者は横のつながりがあるので、個別に交渉するより、まとめて交渉しないと難しいと感じる」「理解は示されたが、競合他社との相見積もりになるため、改定後の価格で受注できるかは不明。失注の可能性もある」「大手ゼネコンが価格に関与しており、希望の4割程度の反映にとどまった」など、厳しい現状が伺えた。
調査は、中小企業等15万社を対象に、親事業者(最大3社分)との価格交渉や価格転嫁に関してアンケートで実施。1万3078社から回答を得た。回答から抽出される発注側企業数はのべ2万5575社。また、下請Gメンが、約1560社を対象に電話でヒアリング調査を実施した。
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