富士経済(東京都中央区)はこのほど、住宅設備・建材の国内市場を調査した結果を「2022年版 住設建材マーケティング便覧」にまとめ発表した。
2021年度の住宅設備・建材の国内市場は、新型コロナの影響で落ち込んだ2020年度から2.4%増の4兆5731億円を見込む。感染症対策の一環としての換気・衛生面に対応した製品や、在宅時間の増加に伴うインテリアやエクステリア、水廻り設備の需要が増加。生活スタイルの変化が市場にプラスとなった。
2025年度は2020年度比6.4%増の4兆7508億円と予測。新設住宅着工戸数の減少が想定されるものの、材料価格の高騰により価格改定が行われる製品があることや、カーボンニュートラルの実現に向けたZEHの増加により、省エネ性の高い製品が拡充されるなど需要の拡大を見込む。
住宅設備市場においては、2021年度は新設住宅着工戸数の増加とリフォーム需要により、多くの品目で伸長するものの、ルームエアコンが前年度の大幅な需要増加の反動で減少するため、前年度比0.4%増にとどまるとみられる。建材市場は、新設住宅着工戸数の増加に加え、断熱分野が価格改定により拡大。前年度比5.2%増の1兆9314億円が見込まれるとした。
断熱分野では、2020年度に住宅用断熱材や複層ガラスが新築住宅減少に伴い2桁近く縮小したものの、2021年度は住宅用断熱材の価格改定もあり前年度比9.0%増を見込む。2022年度以降は、2025年度の省エネ基準適合義務化などにより、カーボンニュートラルの実現に向けた動きが本格化し、市場が拡大するとみられる。断熱材は、在宅時間の増加を背景に防音対策ニーズが増え、遮音性の高さを訴求した製品が活況。複層ガラスは台風などの災害対策として、強度の高い製品を各メーカーが積極的にPR展開している。
システムキッチンや洗面化粧台など設備機器に付帯する水栓金具は、感染症対策としての手洗い意識向上から、タッチレスタイプの需要が拡大。2021年度の市場は前年度比4.0%増の684億円を見込む。家事負担の軽減と清潔性維持を目的に撥水効果のある製品も注目されている。今後もタッチレスタイプがけん引し、2025年度は2020年度比11.7%増の735億円と予測する。
敷地外周に設置するフェンスは、2018年大阪府北部地震のブロック塀倒壊事故をきっかけに、ブロック塀から軽量なアルミフェンスへの交換が続いており、省施工製品が伸長。ユーザーの防災意識の高まりなどから、自然災害へのリスク対策として耐風性を有する高強度製品の需要も増加している。新型コロナの影響で自宅の庭を遊びや趣味に活用する機会が増えたことから、プライバシーを確保する目隠し機能を備えた製品や高尺タイプの需要が増加し、2021年度は前年度比1.8%増の662億円に拡大する見込み。省施工商品や高強度製品などラインアップ拡充などにより、市場は今後も拡大すると予想され、2025年度は2020年度比16.8%増の759億円と予測。
樹脂サッシは、リフォーム需要が高く、新設住宅着工戸数の影響は軽微となっている。今後、ZEHの普及や住宅表示制度における断熱等性能等級5の施行、省エネ基準の引き上げなどにより、住宅の高断熱化が加速するとみられ、リフォーム需要の高まりとともに市場が拡大。2025年度には2020年度比61.7%増の1030億円と予測される。
同調査では、住宅設備17品目、建材26品目、計43品目を対象に、新型コロナ流行以降の市場規模およびメーカーの最新動向や商品開発、流通チャネルの最新トレンドなど市場の現状と今後の展望について整理・分析を行った。
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