弁護士・秋野卓生さんが、工務店が知っておくべき法律知識を毎月20日号で解説する本連載。今号は、先日大手ハウスメーカーが発表した「メタバース」上の住宅展示場を、生活者メリットや雇用の観点から考えます。
大手が「メタバース」上に展示場
最近、仮想空間「メタバース」上の住宅展示場に関する報道がホットになされています。大和ハウス工業が仮想空間でアバター(分身)を動かしながら住宅を見学できるサービスを始めたという報道を目にしました。同社は全国にある住宅展示場を、今後5年間で3割減らす方針も示しています。
メタバース展示場は無料でスマートフォンやパソコン、仮想現実(VR)デバイスを使い、最大6人が利用できるそうです。アバターにはパソコンなどのインカメラで撮影する自分の映像を表示でき、担当者や他の来場者との会話も可能なようで、このような取り組みは、一気に加速することが想定されます。失敗しない家づくりという観点では、素晴らしい取り組みです。
メタバースがイメージギャップを減らす
私が住宅紛争専門弁護士になった若い頃から、住宅展示場に施主が無防備に出かけていくのは、ライオンのような百戦錬磨の住宅営業マンに、ウサギが“食べてください”と飛び込んでいくようなものである、と苦々しい思いで見ていました。
住教育がない日本で、知識のない施主を吸い込んでいくこの住宅展示場のシステムは「営業マンが信頼できるから請負契約をする」という事象を生んでしまい、住宅の性能やアフターメンテナンス体制など、本来は施主が真剣に検討すべき課題を、あまり検討せずに高額契約に導かれていく悪しき慣習だと思っており、イメージギャップトラブルなど起きて当たり前だと思っていました。
これが、コロナ禍になり、施主もうきうきした気分で住宅展示場に出かけていくことができなくなり、他方でテレワーク環境など住居への関心が高まったことから、YouTubeなどで勉強した上で、住宅会社を選ぶようになりました。イメージギャップトラブル防止の観点からは望ましいことだと思っています。
そして今後は・・・・
この記事は定期購読者限定の記事です。続きは、新建ハウジング2022年6月20日号11面に掲載しています。
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