大工で新津技建(長野県佐久穂町)代表の新津裕二さん(37歳)は、墨付けや手刻みといった大工の伝統的な技能や無垢の木材の魅力を生かしながら、若い世代にも響く地域の景観に配慮したデザインや性能に優れた家づくりを手掛ける。新津さんは、これまで地元の大工・工務店として培ってきた力を発揮し、古民家や空き家の利活用にも精力的に取り組む。広報担当スタッフも迎え入れ、YouTubeチャンネル「温故知新チャンネル」で自らの取り組みを動画配信。新津さんが目指すのは、地域の人たちと“佐久穂の魅力”を分かち合い、共存していける暮らし方だ。
ヒノキ・スギなど選りすぐりの国産の良材を、墨付け・手刻みによって加工。金具を極力使わず、長ほぞ・込み栓により伝統的な形で組み上げる木組みが、同社の家づくりの大きな特徴だ。新津さんは「趣味的に、つくり手のエゴを満たすために伝統にこだわっているわけではない。丈夫で100年後にも住み継げる家づくりを実現するために伝統的なつくり方を選択している」とし、そうした家は「住まい手の構成やライフスタイルにあわせながら長く使うことができる」と話す。
伝統生かしながらZEH推進
新津技建では「温故知新」を自社の家づくりのコンセプトとして掲げる。新津さんは「快適で人に住み良く環境にも配慮した、古き良き知恵と現代の知恵を融合させた住宅の在り方」を説いている。住宅に対する現代のニーズや価値観においても高い評価を得られるように、性能やデザイン性の向上にも力を注ぐ。断熱性能は、外張りと内断熱を併用することにより、間取りや大きさによって異なるもののUA値は0.35W/m2K、C値は0.8cm2/m2を標準的な仕様とし、ZEH性能にも積極的に取り組む。
デザインについては・・・・
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この記事は最新号『新建ハウジング6月20日号 4・5面』に掲載しています。
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