合板製造・販売大手である日新(鳥取県境港市)の本社工場で6月19日に火災が発生し、合板工場が半焼した問題。同工場は国内有数の長尺(8~10尺)及び1×2m、4×8尺合板製造事業所だ。野地や軒高の高い壁部位や大型パネルに使用する長尺構造用合板、長尺構合板を原材料としていた大手建材メーカーのシステム建材等への供給にも影響が出ており、一部建材メーカーでは当該システム建材の製造停止を通告するところも出ている。
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同事業所の月間合板製造規模は1万2000立方メートル。長尺構造用合板製造を主体としており、同事業所での製造停止のニュースを受け合板市場は代替材シフトの動きが本格化している。
ただ、国内の長尺構造用合板製造工場は4工場だが、元々東日本勢と西日本勢で市場のすみわけができており、代替の長尺合板調達は容易でない。
長尺構造用合板(3×10判、9mm厚、JAS、特類、F☆☆☆☆)の2022年5月価格は2500円(1枚、問屋着)弱だったが、一気に3000円を超える展開も予想される。価格以前に数量確保が難しくなっている。流通筋は既存取引先への納材に精一杯で、新規での長尺合板引き合いは受けにくいと考えられる。
長尺構造用合板については中国でも複数の事業所でJAS製品の製造が可能だが、既に問い合わせが急増しており、価格が跳ね上がっている。円安ドル高や海上運賃高の影響も大きく、3×10判9mm厚(JAS)は安値でも4000円(1枚、オントラック)台になっている。
国内で3×6判の9mm厚をスカーフ加工して3×10判等を製造する方法もあるが、1枚1500円以上の3×6判9mm厚を2枚必要とすることから、合板加工事業所の唱えは加工費を加算して1枚5000円以上になっている。
合板以外ではカナダ、欧州産OSB3×10判9mm厚(JAS)が有望だが、供給ソースが少ないこと、国内流通事業者の手持ち長尺OSB在庫に限りがあることから、同様に入手は厳しくなっている。
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