長野県は2022年度、2050年カーボンニュートラルの実現とともに、住宅産業の活性化や地域内の循環の創出、健康で快適な暮らしの実現に向けて「信州健康ゼロエネ住宅」の普及に本格的に取り組む。阿部守一知事肝いりの住宅施策だ。3月にはその指針を策定、指針に盛り込んだ断熱性能などの基準を満たす住宅の新築・リフォームに対する助成制度の受け付けを5月にスタートしている。助成額は最大で150万円で、これまで運用してきた「信州健康エコ住宅」の1.5倍だ。
信州健康ゼロエネ住宅では、「最低」「推奨」「先導」の3つの基準を設定。最低は、ゼロエネルギー達成に向け、文字通り県として「最低限確保すべき基準」とし、推奨は、環境負荷の低減と快適性を「高い次元で達成する基準」、先導は環境負荷を「極限まで抑えるチャレンジ基準」と位置づける。
最低では、省エネ基準地域区分2地域で外皮性能はUA値0.4W/m2K(以下、同じ)以下、3・4・5地域では 0.5以下となり、1次エネルギー消費量は対省エネ基準で20%以上の削減を求める。推奨では2・3地域はUA値0.28以下、4・5地域は0.34以下で、1次エネルギー消費量は25%以上削減。先導では、2・3地域はUA値0.2以下、4・5地域はUA値0.23以下で、1次エネルギー消費量30%以上削減を求める。
このほか、県産木材の使用量に基づく基準や太陽光発電、木質バイオマスによる暖房、耐震性能や災害リスクの削減量なども同3基準ごとに設定。これらを達成することで、「光熱費が安い」「健康で快適」「災害にもしなやか」「豊かな暮らしを実現」といったメリットにつながるとする。
県は、断熱性能が1980(昭和55)年基準の築後おおむね30年以上が経過した住宅では年間の暖冷房費が約24万円なのに対して、・・・・・
この記事は、月刊アーキテクトビルダー6月号「国の家づくり支援制度」(2022年5月30日発行)P.18~に掲載しています。
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