耐震等級3が当たり前の要求となり、快適性や寛ぎ感、「家事楽」など設計上の要求も増えた。耐震とプランを高い水準で整合させるには、耐震部材や工法の知識が不可欠だ。
設計・施工時の強い味方となる部材や工法の動向をまとめた。
※地盤編 ※基礎編 ※耐力面材編 ※耐力壁編 ※耐震フレーム編 ※耐震部材編
耐震工法①
構造信頼性を担保して開放的な空間をつくる
◉独自の部材や金物とともに、耐震性能の高い軸組一式を提供する耐震工法もさまざまな提案がなされている。多くはFCやVCとして展開。本部で構造計算や施工指導、現場チェックなどのサポートを行っている。
◉最近は「中の上」以上の価格帯に向けて空間性を訴求する動きが目立つ。大開口や大空間、大きな吹き抜けなどだ。そこに全棟構造計算・耐震等級3などの性能面での安心感を付与して受注につなげようという考え方だ
耐震工法②
集成材+軽量H型鋼による複合梁を生かす
◉この分野の先駆けが「テクノストラクチャー工法」(パナソニックアーキスケルトンデザイン)。在来構法だが軽量H型鋼と集成材の複合梁「テクノビーム」を用いて大スパンを確保。全棟構造計算により安全性も確認
◉テクノビームの主要断面は105×290mmでスパン6m。軸組は梁勝ちですべて管柱だ。耐力壁には筋交いや耐力面材のほか独自の門型フレームや制震ダンパーも用意。大開口に配置して壁量を確保し、偏心率を抑える
◉同工法は軸組関連の部材以外にも建材や住設の提案やマーケティングのセミナーの開催など、住宅トータルの完成度を高めて受注につなげる仕組みが充実している
耐震工法③
エンジニアリングにとことんこだわる
◉「SE構法」(エヌ・シー・エヌ)も名高い。SE構法は耐力壁を併用した木質ラーメン構法。独自のSE金物と表面に凹凸のあるS ボルトにより構造用集成材の柱と梁を強固に固定
➡Sボルトは柱と梁の接合部に食い込んで定着。経年変化により木材が収縮しても剛性を保つ
◉SE構法の柱は120mm角が中心で梁は120mm幅。一般的な住宅に準ずる断面の部材を用いてスパン8mを確保。トラスや張弦梁によりスパン10m超の空間も可能であり、在来工法では難しいスキップフロアの構造評定も得ている
◉SE構法の最大の特徴は一貫生産。構造計算プログラムで構造設計を行った後、専用CAD・CAMで加工データを作成して指定工場でプレカットを実施。写真により施工品質も確認する
◉このシステム化された木質ラーメン構法により、高い耐震性能と開放的な空間を両立できるため、高価格帯の住宅や非住宅用途の中規模木造における採用が増えてきている
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