建築コストの増加、高いインフレ率、住宅ローン金利の上昇など、現在の米住宅市場には市場を減速させるような不安要素が山積している。それに伴い、住宅建設業者の景況感も悪化しているようだ。
全米住宅建設業協会(National Association of Home Builders)がこのほど発表した2022年6月の「NAHB住宅市場指数(NAHB/Wells Fargo Housing Market Index)」は、前月比マイナス2の67ポイントだった。指数は年初より6か月連続で下落しており、この2年間で最も低い数値となった。
NAHB住宅市場指数は、「一戸建て住宅販売の現状」、「今後半年間の一戸建て住宅の販売見込み」、「購入希望者の量」の3要素に対する住宅建設業者の認識を数値化したもの。50以上の数値は、住宅建設業者の景況感が好調であることを示す。
6月は3要素すべてで指数が低下した。「一戸建て住宅販売の現状」は77ポイント(前月比マイナス1)、「今後半年間の一戸建て住宅の販売見込み」は61ポイント(前月比マイナス2)、「購入希望者の量」は48ポイント(前月比マイナス5)となった。
「購入希望者の量」に関する住宅建設業者の認識が、特に低水準かつ低下幅が大きく、米住宅市場の鈍化具合を如実に表している。
地域別指数の3か月移動平均も、米4地域すべてで低下した。北東部は71ポイント(前月比マイナス1)、中西部は56ポイント(前月比マイナス6)、南部は78ポイント(前月比マイナス2)、西部は大きく低下して74ポイント(前月比マイナス9)となった。
全米住宅建設業協会のチーフエコノミストであるロバート・ディーツ氏はリリースで、現在の米住宅市場について「需要と供給両面で課題に直面している」と説明。「住宅建築資材費は、住宅市場の鈍化により最近値下がりしている木材を除いた様々な建築資材のコスト上昇により、前年比で19%増となっている。市場の需要面では、『購入希望者の量』に関する指数に反映されているように、2022年上半期の住宅ローン金利の上昇が、著しい数の購入希望者を手が出ない状態に追い込んでいる」とし、米住宅市場が抱える問題について自身の見解を示した。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。