耐震等級3が求められる一方、開放的なプランの需要も高い。そうしたなか制震部材(制震ダンパー)が注目を集めている。制震部材の採用事例が豊富な益田建設の鈴木強氏に、制震部材の製品選定や活用方法について聞いた。
耐震性能を満たした上で制震部材を付加する
◉制震部材は地震力(水平力)を熱エネルギーに変換して低減させ、揺れを抑える装置。ダンパー型の製品が多い。
耐力壁と異なり、水平力を受けて変形した後に元の状態に戻り、繰り返しの地震に対応する
◉この性質を生かすには、制震部材を取り付ける躯体が水平力に対して十分な剛性をもっている必要がある。その強固な躯体に制震部材をバランスよく設置して揺れを抑えることで大地震時の倒壊や損傷リスクが低減する
➡耐震等級3の耐震性能を確保した上で制震部材を付け加えるのが基本。耐震+制震の相乗効果が得られ、費用対効果もよい
制震部材は情報が少なく選びにくい
◉制震部材が機能するには軸組に加わる水平力が制震部材に効率よく伝わる機構が必要だ。一方、制震部材は揺れを吸収するほか一定の剛性をもつ。予期せぬ状況で耐震要素として働いて軸組を破損しないような機構が必要だ
◉たとえば方杖型の製品は水平力の吸収が不十分だと柱梁の仕口を突き上げたり、柱を押す危険性が指摘されている。それを防ぐ機構を備えているか確認が必要だ
◉製品の制震性能は試験データで確認できる。試験データは、①制震部材そのものの試験、②軸組に制震部材を取り付けた試験、③耐力壁を備えた架構に組み込んだ試験、④実大の振動試験、といったデータに分かれるが、②~④が非常に重要だ
◉上記②の試験データからは「●kNの水平力を掛かったときに●mm変形する」という制震部材そのものの特性が分かる。③は耐震+制震を複合したときの特性が分かる。④は総合的にどの程度損傷を防げるかということが分かる
◉現状では・・・・・
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続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー2022年6月号/超スマート経営』(2022年5月30日発行)P.116~に掲載しています。
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