社内で製材事業を行いながら、大工の手刻みによる木組みの家づくりを展開する田中製材工業(長野県東御市)は、事業再構築補助金を活用して、木工作業ができるレンタル工房やコワーキングスペース・シェアオフィスなどを備え、“木育”と地域活性化の拠点となる体験型複合施設「ミマキウッドラボ」を整備する。社長の田中俊章さんは「たくさんの人に地域の木を使うことの意義や森林を育てることの大切さを体験を通して知ってもらいながら、同時にさまざまな分野の人たちと連携して地元を元気にしていきたい」と意気込む。
ミマキウッドラボは木造2階建て・延べ床面積約500m2の規模で、本社や製材所の目の前にある敷地に建てる。近く着工し、9月中にオープンする予定だ。木工作業をはじめ鉄工、電子工作・ロボットプログラミング、手芸など、さまざまなものづくりを行うことができるレンタルスペース「ものづくり工房」をメインに、コワーキングスペースやシェアオフィス、音楽・撮影スタジオ、カフェキッチン、小ホール、「木の遊び場」といった多彩な機能を備える。
田中さんは「施設の構想自体は、何年も前からあたためていた。事業再構築補助金という千載一遇のチャンスに、これを逃したら僕の代では構想を具現化できないと思い、チャレンジしようと踏み切った」と話す。事業再構築補助金は、事業計画書を作成して金融機関と連携して申請しなければならないうえ、採択率も低い難関だが、広報・ブランディング担当の若手女性スタッフと二人三脚で取り組み、事業計画書そのものは、ほぼ自前でつくり上げて狭き門を突破した。田中さんは「製材から木組みの家づくりまで一貫して木を扱っていることが僕らの強み。SDGsや脱炭素社会の実現に向けて、本気で木や森林のことを伝えていきたいという思いとコンセプトが採択につながったと考えている」と話す。施設整備にかかる総事業費は約7600万円で、そのうちの3分の2を補助金で賄う。
木工職人が作業を支援技術習得の講座なども
DIY を含む木工作業や木工体験ができるスペースには、CNC ルーターやパネル切断機など、「普通の木工所が営めるほど」(田中さん)の木工機械を取りそろえる。そこに提携する木工職人が常駐し、利用者の作業支援をしたり、体験型の木工教室を行うほか・・・・・
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この記事は、5月30日発行の『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー(2022年6月号)/超スマート経営』P.42~に掲載しています。
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