2022年度も、継続・新規合わせてさまざまな支援策が講じられる。今年度は継続事業でも省エネ性を中心に要件の変更が目立ち、新事業でも高性能住宅を優遇する動きは明らかだ。ポイントごとに実際の事業をピックアップしながら、注意点を解説する。
制度改正に伴い省エネ性の要件を引き上げ
2022年度、特に注意が必要なのは継続事業における要件の変更だ。昨年は、2050年カーボンニュートラルの旗の下、住宅の脱炭素・省エネ化施策も大きな動きを見せたが、その波が補助金・優遇制度にも及んでいる。
2025年の省エネ基準適合義務化に先行して、各種認定制度では基準の引き上げや見直しが進んでいる。家づくり支援制度でも、認定制度等の基準を引用しているものは、大本の制度に合わせ要件が引き上げられた。
地域型住宅グリーン化事業は、長期優良住宅、低炭素住宅の各制度が10月1日に改正され、省エネ性の基準がZEH水準(強化外皮基準・一次エネルギー消費量20%減)に引き上げられることを踏まえ、長寿命型と高度省エネ型は原則としてZEH水準が要件となる。
改正、つまり9月30日までは省エネ基準相当の住宅でも補助は受けられる。しかし補助額は長寿命型110万円(ZEH水準140 万円)・高度省エネ型70万円(同90万円)と引き下げられる。一方、ゼロ・エネルギー住宅型で長期優良住宅認定を取得すれば上限を10万円引き上げる措置を新設した。
高性能は証明必須 普段からBELS等を取得しよう
性能向上リフォーム支援策の定番・長期優良住宅化リフォーム推進事業も、省エネ性関連で大きな変更があった。今年度から、高度省エネルギー型は廃止。その代わり、一次エネルギー消費量20%削減が加算条件に。加算額は50万円。補助額は最大で250万円(認定長期優良住宅型)となる。
この加算措置を使う場合、申請時にBELS評価書を提出しなくてはならない。前述の地域型住宅グリーン化事業や、こどもみらい住宅支援事業、ZEH支援事業でも、省エネ性の証明としてBELS評価書が利用できる。
事業にもよるが、BELSの他、住宅性能評価書なども証明書類としては利用範囲が広い。性能評価書は、長期優良住宅の認定と同時に取得できるようになったので、認定を取っているなら性能評価もいいだろう。補助制度利用の有無にかかわらず、普段から取得しておくことをおすすめする。
省エネ基準だけでは補助対象にならなくなる?
これまで省エネ性の要件がなかった制度でも、2025年の義務化に向け、省エネ基準への適合が要件化されていく。例えば住宅ローン減税制度では、2024年から省エネ基準適合が必須に。借入限度額も3000万円(2023年までは4000万円)に引き下げられる。
適合していない住宅でも2023年までに建築確認を受けていれば、2000万円を限度に控除が受けられる。しかし24年以降の入居では控除期間が13年から10年となる。
来年度からは、フラット35でも金利優遇プランの適用を問わず、省エネ基準適合が要件化される。それに先駆け、今年10 月からはフラット35S、フラット35リノベで省エネ性の基準を強化。フラット35S には「ZEH」の区分を新設し、当初5年間は0.5%、6~10年目は0.25%金利を引き下げる。
もはや、省エネ基準適合で受けられる補助金や減税は、義務化までのボーナスのようなものだと捉えた方がよい。物価上昇対策として、こどもみらい支援事業は申請期限が延長されたが、省エネ基準適合住宅に限っては期限が前倒しに(今年6月 30日まで)。補助金で経済的な負担を減らしつつ、高性能で質の高い住宅を提供していくスタンスに切り替えるべき時期が来たと言えるだろう。
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