国土交通省は6月15日、建設業の働き方改革を推進する目的で民間工事を対象に実施した「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」の結果を公表した。注文者からの工期の提案が「妥当な工期が多かった」との回答は66.6%を占めたものの、「短い工期が多かった」は 29.2%あり、「著しく短い工期が多かった」も1.6%あった。国交省は「請負階層が下がるほど下請企業の立場が弱く、受発注者間の片務性が生じている可能性がある」としている。
調査は、2022年1月1日現在(2020年9月以降に請け負った工事)の状況について、建設企業(建設業法に基づく届出団体の会員企業)1933社と、発注者(電気・鉄道・住宅・不動産業界の大手企業)42社を対象に実施。建設企業1471社、発注者全社から回答を得た。
個別工事の工期設定について、発注者の属性別にみると、「(著しく)短い工期の工事だった」と回答した建設企業の割合は、小売(44.3%)、不動産業(38.4%)、学校教育(38.1%)などが全体平均(26%)よりも高かった。
請負階層別では、「(著しく)短い工期の工事が多かった」と回答した建設企業の割合は、全体では30.8%だった。ただし、一次下請工事を主とする企業では36.8%、二次以下の下請工事を主とする企業では44.9%と、請負階層が下がるほど短い工期を要求される傾向にあった。
工期設定の際も、二次以下の下請企業では「注文者に協議は依頼しない」(29.5%)と「依頼しても応じてもらえない」(21.8%)合わせて5割程度に達しており、注文者に意見を伝えることが出来ない様子が伺える。また、仮に協議を行った場合も要望を受け入れられない割合は、一次下請け18.6%、二次以下17.9%と、請負階層の低い企業は短い工期のまま工事を受注することが多い。 建設企業の平均的な休日の取得状況については、「4週6休程度」が44.1%で最も多く、「4週8休以上」は8.6%にとどまった。
発注者の属性別に見た「4週8休以上」と回答した割合は、小売(4.3%)、不動産業(4.6%)、医療・福祉(5.3%)、住宅メーカー(5.6%)などで、全体平均(11.0%)を下回った。
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