自宅のメンテナンス・リフォームの担い手がおらず、困り果てている住まい手は少なくなく、工務店が広くメンテナンス・リフォーム需要に応えることは重要になりつつある。
事業者と住まい手の関係性について研究する大阪大学大学院准教授の伊丹絵美子さんに、住まい手が抱える課題や、工務店の関わり方について話を伺った。
大阪大学大学院准教授
伊丹絵美子さん大阪大学大学院工学研究科修了。
博士(工学)。住宅メーカー、NGO、日本学術振興会特別研究員、香川大学工学部講師、大阪大学大学院工学研究科助教を経て2021年4月から現職。
専門分野は建築計画・都市計画、建築社会システムで、主に「戸建住宅・郊外住宅地の管理・運営」を研究。
リフォームに関する住まい手への調査の結果では、不安や困りごととして事業者(依頼先)のことが常に上位にあがるし、最大の不安である費用にしても、事業者が信頼できるならば、ここまで不安を感じないのでは。不安だからといって、リフォームや営繕をためらっていたら、住宅ストックの質が低下してしまう。
どうやったら住まい手は、事業者を信頼できるのか。社会心理学を参照すると、能力(技術力)への評価と、意図への評価(「ちゃんとやってくれる」)が、信頼を生む2大ポイントになる[図]。意図だけで信頼している人も、本当なら能力を評価して事業者を選びたいはず。
でも、評価のよりどころも極めて少ないのが現状だ。世の中には、能力をラベル化する取り組みが多数あるが、それだけで住まい手は満足しない。順法であることや、実績としての数字は、能力としては最低限の情報。住まい手が事業者の信頼を判断するには十分ではない。
家を知り尽くした第三者としての工務店に期待
中古住宅を購入してリフォームした住まい手にヒアリングしたところ、“専門家の知り合い”によるアドバイスで安心感が強まる傾向が見られた。第三者のインスペクションだけではなく、リフォームを依頼する工務店に物件を見てもらうことでも物件に対する安心感は高まる・・・・
この記事は最新号『新建ハウジング紙面 6月10日号 4面』に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。