耐震等級3が当たり前の要求となり、快適性や寛ぎ感、「家事楽」など設計上の要求も増えた。耐震とプランを高い水準で整合させるには、耐震部材や工法の知識が不可欠。
設計・施工時の強い味方となる部材や工法の動向をまとめた。※地盤編はこちら。
基礎① 高耐震と省力化を両立する合理化工法
◉摩耐震性能の要は基礎。木造住宅の基礎については建築基準法では最低限の規定しかないので許容応力度計算によって構造設計を行うことが望ましい
◉一方、昨今は基礎工事に関わる職人不足が深刻化。コスト面や技能低下を補うためにも合理化が必要だ。その手法の1つが「耐圧版グリッドポスト基礎」(J建築システム)
◉平らな耐圧版とPC(プレキャストコンクリート)の束を組み合わせた工法。束が載る通りの耐圧版の鉄筋量を増やして地中梁とし、立ち上がりを省略
◉床下の開放性が非常に高いので、床下点検口が最小限で済む。また、本州の高断熱高気密住宅で流行している床下エアコンとも相性がよい
◉同基礎は施工性も向上する。根切り底が平らで済むので作業性が高まり、残土も減る。また立ち上がりの型枠や打設するコンクリートの量が減るので施工手間も減らすことができる
◉一方、耐圧版が厚くなり、地中梁により鉄筋量が増える点とPC束を購入する点はコスト増になる。その分を差し引きすると、トータルで15%程度コストダウンになる
◉この基礎手法は許容応力度計算による構造計算を行うことか前提。立ち上がりを省略した特殊な基礎なので、構造計算に対応したソフトが「STRDESIGN(ストラデザイン)」に限定
➡構造計算をメーカーに依頼することもできる
基礎② 杭と基礎を一体で検討して経済性を高める
◉杭(補強材)による地盤補強を行った場合、その配置により地震時の軸力の掛かり方が決まる。そのため基礎の仕様と杭配置は一体で検討すると合理的な設計となる
➡ジャパンホームシールドでは、設計者などと情報共有することで、杭配置と基礎設計を最適化している
◉大まかな手順は以下の通り。まず設計者が基礎伏せ図などの図面を同社に渡す。それを踏まえて同社では基礎と杭基礎を一体で評価し、基礎補強と杭配置を提案する。設計者は必要に応じて基礎設計を修整する
➡上記検討により杭の本数を抑えることができ安全性と経済性を両立させた地盤改良が可能になる
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