安成工務店(山口県下関市)は30年に渡り環境共生住宅(エコ住宅)を手掛けてきた。その結果、安定的に年間100棟以上の受注が得られるまでに成長。その取り組みから「エコ経営」の手法を学ぶ。part1では安成工務店社長・安成信次氏への取材をもとに、安成工務店を含む安成グループの概要について紹介する。
ポイント1.
安成グループの事業内容① 全体の構成
◉安成グループは13社。福岡県に本社を置く会社が6社、山口県が7社。そのうち新築住宅を手掛ける会社は5社。山口県の安成工務店、銘建、エコビルド、下関ハウジング。福岡のオークス建設
◉住宅系3社はM&Aによる。最初は2003年のオークス建設。福岡進出の際にタイミングよく話があった。同社は地域ゼネコンだったが、M&A後に住宅事業を新設
➡M&Aを何度か行うと仲介会社などから話がくるようになった
◉今年度の目標売上は安成工務店で約114億円。そのほかの会社で約90億円。合計で約204億円。住宅の棟数は安成工務店が114棟、それ以外の3社(今期傘下に入った下関ハウジングは含まず)で82棟。合計196棟
➡売上は安成工務店が全体の5割強、住宅の棟数も同社が5割強を占める
ポイント2.
安成グループの事業内容②
住宅系5社の相違点と共通点
◉住宅系5社は家づくりのテイストが違う。安成工務店は自然素材を多用した環境共生住宅。エコビルドとオークス建設は新建材主体で仕上げた高性能なデザイン住宅。銘建は両者の中間
◉一見バラバラの家づくりだが、全棟セルロースファイバーによる調湿性能をもった高断熱躯体(HEAT20のG2が標準)とし、長期優良住宅の認定を取得しているところは共通
◉安成工務店がパッシブ主体のエコハウス、そのほかの4社がアクティブ主体のエコハウスという位置付け。住宅系5社の方向性に大きなぶれはない
◉価格的には安成工務店が1棟あたり4000万円、ほかが2000万から3500万円。安成工務店では価格帯別に商品を設定する戦略を取らなかったため、グループ会社で補完
➡グループ会社全体でボリュームゾーンから高価格帯までをカバーする戦略
◉今後は住宅系5社の連携を積極的に行う。現在は各社の設計手法などの情報共有を始めている。異なった文化で育った社員はそれぞれ独自の技術があり、学び合うことでよい影響がある
➡その先は仕入れ情報の共有や仕様の統一など、グループ会社ならではの利点を強化する予定・・・・・
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記事では、グループ各社の売り上げ推移や棟数の推移も公開しています。
この記事は、5月30日発行の『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー(2022年6月号)/超スマート経営』P.48~に掲載しています。
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