建築工房零(宮城県仙台市)は、若手の社員大工に規格住宅の現場管理を任せることにより、主体性やモチベーションを高めながら、短期間での成長(能力向上)につなげる実践型の育成を行っている。注文住宅に比べ、現場の管理がしやすく、納まりなどに関しても標準化されている規格型住宅を「若手大工を大きく伸ばすステージ」に位置づける。同社では、社員大工を対象とする独自のキャリアアップシステムも運用しており、技術や管理だけでなく、営業・提案もでき、高い社会性、人間性を兼ね備える総合力の高い大工の養成を目指している。
修業の成果アウトプットし技術力とモチベアップ
規模拡大し社会貢献の影響力を高める
建築工房零の社員大工が所属する工務課には、課長の尾崎政和さんをトップに11人が在籍する。親方にあたる班長が3人いて、その下にそれぞれの大工がついている。これまでは何人かの社員大工が、同社専属の外部の大工(親方)に弟子入りしていたが、ここ2~3年でその多くが“年季明け”したことにより、「社内で大工が大工を育成する循環ができてきた」(尾崎さん)という。現在、外部の親方のもとに弟子入りして修業しているのは、2人だけとなっている。
こうした状況のなか同社では、若手の社員大工に思い切って現場を任せることによって、短い期間での技術力の向上やモチベーションアップを促す実践的な育成を行っている。その“舞台”となるのが、昨年12月にアップデートしてリリースした「ZEROBACO(ゼロバコ)」(30坪)と「ZEROBACO+(ゼロバコプラス)」(36坪)の2種類の規格型住宅(ゼロバコシリーズ)だ。20代の社員大工が現場管理を含めて、「1人で1棟を手掛ける」ことにチャレンジしながら成長を目指している。
誰にも頼れない状況で1棟に責任を持つ
この実践的な育成の取り組みは、社員の提案によって具体化したものだ。修業中の若手大工が現場に出ていても、親方や先輩からの指示をこなすことに終始したり、身近に頼れる職人がいると、ついつい受け身になってしまうという問題を・・・
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