パテント・リザルトは6月9日、ゼネコン業界の特許を対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した「ゼネコン業界 他社牽制力ランキング2021」を発表した。2021年に引用された特許数が多かった企業は、1位清水建設(447件)、2位大林組(344件)、3位大成建設(340件)だった。
1位の清水建設の最も引用された特許は「予め設定した場所とは違う場所で建物検査を行う際の検査支援装置」に関する技術で、鹿島建設や高砂熱学工業などの計4件の審査過程で引用された。このほか「ARマーカを用いずに撮像画像と仮想画像を合成し、正確な竣工イメージを表示する合成画像表示システム」に関する技術が、大林組などの計3件の拒絶理由として引用された。同社特許の影響を受けた件数が多い企業は、竹中工務店(45件)、大成建設(23件)、鹿島建設(20件)となっている。
2位大林組の最も引用された特許は「梁端接合部の構造耐力を向上できるH形鋼製梁の梁端接合部構造」に関する技術で、竹中工務店などの計3件の審査過程で引用された。このほか「トンネル支保材の連結構造」に関する技術が、前田建設工業の計3件の拒絶理由として引用された。同社特許による影響を受けた企業は、竹中工務店(39件)、鹿島建設、清水建設(いずれも23件)だった。
3位大成建設の最も引用された特許は「空間の温度などの環境物理要素の3次元空間分布をリアルタイムで把握できる空調環境モニタリングシステム」に関する技術で、三菱電機の計4件の審査過程において拒絶理由として引用された。同社特許による影響を受けた企業は、竹中工務店(48件)、鹿島建設(29件)、清水建設(21件)などとなった。
同ランキングは、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出したもの。これにより直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な企業が明らかになるとする。
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