ゼロゼロ融資(無利子・無担保融資)などのコロナ融資を受けた後に倒産した「コロナ融資後倒産」が急増していることが帝国データバンクの調査で明らかになった。6月8日発表した、「全国企業倒産集計2022年5月報 別紙号外リポート」によると、2022年5月までに判明したコロナ融資後倒産は、累計で323件判明し、初めて発生が確認できた2020年7月から約2年で300件を突破した。月を追うごとに倒産ペースが加速しており、このペースが続けば、早ければ今月にも前年(165件)を上回る見通しだ。
業種別にみると、全323件のうち最も多いのは製造業の67件で、次いで卸売業(65件)が多かった。建設業は61件と3番目に多く、住宅建築など幅広い業種で発生がみられた。
持続化給付金をはじめとする政府の支援策や官民によるコロナ融資は中小企業の資金繰りを下支えしてきたが、業績の立て直しがままならない企業も多く、既にコロナ融資を運転資金などで使い切っているケースも多いとみられる。返済開始の期限が迫る企業も増えており、返済原資の確保や金融機関から追加の融資も難しい中小企業で、最終的に資金繰りに行き詰まり事業継続を諦める経営破たんが目立ち始めている。
帝国データバンクが2月に実施した調査では、コロナ融資を受けた企業のうち約1割で「返済に不安がある」と回答。「長引くコロナ禍で業績回復が遅れている中小・零細企業にとって返済は大きな重荷。今年夏にも返済が本格化するとみられるなか、収益力が戻らず返済原資の確保ができない企業の「あきらめ」による倒産増が懸念される」としている。
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