脱炭素社会の実現に向け、企業、自治体などに参加を呼び掛けている団体である気候変動イニシアティブ(JCI)は6月3日、ロシアによるウクライナ侵攻による原油や天然ガス価格が高騰する現在の世界情勢を踏まえ、「いまこそ再生可能エネルギーの導入加速を エネルギー危機の中でも気候変動対策の強化を求める」メッセージを発表した。
このメッセージには、285団体(企業201、自治体15、団体・NGO等69)が賛同。地域工務店ではエコワークス(福岡市)などが名を連ねている。
声明ではロシアのウクライナ侵攻で世界のエネルギー供給が不安定化している中で、「懸念されるのは安定供給のためとして化石燃料への依存を続ける、かつてのエネルギー議論への回帰です」と強く主張した。
世界的な流れも例に挙げ、欧州連合では3月上旬にロシアへのエネルギー依存の解消を目指す戦略を公表。太陽光発電、グリーン水素など再生可能エネルギーの供給加速を中心に位置づけ、特にドイツは、2035年に再生可能エネルギーで国内電力供給のほぼ100%をまかなう法案を発表した。
欧州の電力供給に占める再生可能エネルギーの割合は40%を超えているが、日本では未だ20%程度で化石燃料への依存が大きく原油や天然ガス価格高騰の影響を強く受けるため、「日本で今取り組むべきは、エネルギーの総使用量を減らすこと、つまり、省エネ・エネルギー効率化を徹底するとともに、世界情勢に左右されない再生可能エネルギーの導入を加速することです」と指摘した。
現在、日本の再生エネルギー発電について、太陽光発電コストにおいては1kWhあたり10円を切り、多くの企業でPPA(電力販売契約)を活用した再生可能エネルギー電力の開発・調達が進んでおり、地方自治体では促進区域の設定や新築建築物への太陽光発電設置義務の制度化など、導入拡大が取り組まれている。
政府は今年6月を目途に「クリーンエネルギー戦略」の策定を進めており、「この戦略は、風力発電、太陽光発電など再生可能エネルギー開発の促進を中心に据え、気候変動イニシアティブが昨年求めたように、2030年に40%~50%の導入を可能とするものでなければなりません」と求めた。
4月4日公表のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第3作業部会の第6次評価報告書は、現在の政策では世界の気温上昇が3.2℃に達すると警告し、COP26で合意された1.5℃目標の達成には、遅くとも2025年までに温室効果ガスの排出をピークアウトさせ、2030年までの43%削減(2019年比)が不可欠としている。
「エネルギー危機の中でも、気候変動対策をあいまいにすることは許されません。私たちは、自らの取組みの中で、また地域でのパートナーシップを通して、対策の強化に取り組むことを誓うとともに、政府にも再生可能エネルギー拡大を一層強力に推し進めることを求めます」と早期の再生可能エネルギーの導入加速を訴えた。
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