日本ツーバイフォー建築協会(池田明会長)、日本木造住宅産業協会(市川晃会長)、JBN・全国工務店協会(大野年司会長)の木造住宅3団体が、東京都の小池百合子知事あてに連名で「東京ゼロエミ住宅」基準多段階化の運用に関する申入れをしていたことがわかった。
東京都は「東京ゼロエミ住宅」について基準を多段階化したが、運用に関して「『木造』の住宅が『木造以外の構造』の住宅に比べて不当に合理的な理由なく不利な扱いがなされている」と指摘。政策上明らかに不合理とし、「本来の目指すべき性能水準への適正化」を図ることを求めたという。
東京都は、家庭部門の省エネ対策の推進と高い省エネ性能の住宅普及を目指して2019年度から独自に実施している「東京ゼロエミ住宅」に関して、本年度から、①水準1=UA値0.7以下、省エネ基準から一次エネルギー消費量30%以上削減、②水準2=UA値0.6以下、省エネ基準から35%以上削減、③水準3=UA値0.46以下、省エネ基準から40%以上削減――と多段階化した。
ただし、RCなど木造以外の構造は断熱面などで不利になるといった理由で、省エネ基準からの削減率を水準1は25%以下、水準2は30%以下、水準3は35%以下とし、UA値も水準3は0.60以下と、木造より低く設定している。
この点について木造住宅3団体は、「木造」と「木造以外の構造」の性能値を、早急に同じ性能値に見直すことを求めた。
例えば、「木造」の水準2の住宅と「木造以外の構造」の水準3の住宅が同じ省エネ性能となるが、「木造以外の構造」の方が助成金額が 160 万円も多くなるため、「住宅取得者(都民)にとって不公平」と指摘。
また、同じ「水準3」の住宅を建てても、「木造以外の構造」は「木造」よりも性能が劣ることとなり、「住宅取得者(都民)にとって解りにくいだけでなく、不利益を被ることとなる」と、問題点を挙げている。
さらに、「木造」と「木造以外の構造」とを異なる性能値で整理することは、「木材利用の促進・普及に対する『逆インセンティブ』となりかねない」とし、「東京ゼロエミ住宅」を木材の利用・木造の普及等を推進する制度設計とすることが望ましいと訴えた。
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